研究課題/領域番号 |
19K13469
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研究機関 | 金沢星稜大学 |
研究代表者 |
小河 久志 金沢星稜大学, 人文学部, 准教授 (50584067)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | イスラーム / 聖者信仰 / タイ / イスラーム復興運動 / 宗教実践 / 多文化共生 / 文化人類学 |
研究実績の概要 |
本研究は、タイで生起するイスラーム聖者信仰の興隆という現象を、イスラーム復興運動との関係からとらえるとともに、それがムスリムの私的、公的領域に及ぼす影響についてミクロな次元から解明することを目的としている。この作業を通して、イスラーム復興運動と聖者信仰を二項対立的にとらえてきた既存の研究が持つ暗黙裡の前提を相対化し、人類学における聖者信仰研究に新たな分析枠組みを提示することを目指している。 2021年度は、新型コロナウイルスの感染拡大が収束しなかったことを受けて、昨年度に引き続き予定していたタイでの現地調査を行うことができなかった。このため、日本国内で主に以下の活動を行った。 第一は、文献とウェブサイトの調査である。具体的には、イスラーム聖者信仰やイスラーム復興運動に関する文化人類学、宗教学、地域研究の文献資料を収集、読解した。また、ウェブサイト上にあるタイのイスラーム聖者信仰やイスラーム復興運動に関するタイ語や英語の情報を収集し分析した。この作業を通して、本研究に関わる多くの知見を集めることができた。 第二は、これまでの調査研究で獲得した情報の取りまとめと公表である。2021年度は図書(3件)、研究発表(1件)というかたちで研究の成果を公表することができた。また、研究成果の公表を通して、研究者等から本研究に関する貴重な情報を得ることができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
新型コロナウイルス感染症の拡大により海外渡航が制限されたことや本務先の変更などにより、当初の計画通りにタイでの現地調査を行うことができなかったため。他方で、これまでの研究の成果の公表に関しては、当初の計画以上に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
新型コロナウイルス感染症をめぐる状況が好転しタイへの渡航がほぼ可能になったので、今年度は数回にわたりタイでフィールドワークを実施する。また、前年度に引き続き、イスラーム聖者信仰に関する先行研究の検討と、これまでの調査研究の成果の取りまとめを行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルスの感染拡大により当初予定していたタイ調査が実施できなかったために次年度使用額が生じた。タイへの渡航が可能となった今年度は、中短期のタイ調査を複数回おこなう予定であり、助成金はそのための経費に使用する。
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