研究期間全体を通じて、査読つき論文2本、共著6冊、2つのエッセイ、3件の舞台上のダンス・パフォーマンス、LGBTQIA+のためのワークショップ、複数の媒体を通して研究の成果を日本語のみならず英語とフランス語でも発表できた。主な成果は身体をもった情動論的なアプローチを展開させ明示できたことであった。本研究の調査を題材にし、情動論における生成変化、官能性、痛み、人類学的な応用を示してきた。 上記の研究では、情動論を研究対象とするのではなく、自らの情動を研究手段にして理解を深めるという新たなアプローチをとりました。 近年の人類学では、発表媒体としての芸術が注目されていますが、身体について関心が高まっているにもかかわらず、身体的なパフォーマンスを研究の発表形態にすることは稀にない。本研究では、情動的なパフォーマンスを研究の発表形態とすることで、調査の中で経験したが言語化しきれないものを提示するために、3回にわたって身体的なパフォーマンスを披露した。このパフォーマンスは人類学のみならず学問において身体経験を掬い取ってより深く理解できる方法である。 さらに、かつての情動論では抽象度が高く情動が均質的であるように論じられているが、本研究では社会的な属性やアイデンティなどによって情動がどのように変容するのかという、新しい課題を見つけて、この研究関心について論文投稿や共著の執筆、研究の口頭発表という形で発表ができた。
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