研究課題/領域番号 |
19K13472
|
研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
近藤 宏 早稲田大学, 教育・総合科学学術院, 助教 (20706668)
|
研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
|
キーワード | コロンビア / 国内避難民 / 先住民 / エンベラ |
研究実績の概要 |
2020年度は、covid-19の影響で予定していた現地調査を行なうことができなかった。その代わりに、複数の研究会での発表などを通して、これまでの現地調査の成果をまとめなおすとともに、その事例が位置づけられる社会的文脈を再検討することも含めて研究を進めた。 具体的には、①難民研究のなかの「国内避難民」の問題をめぐる先行研究と議論のサーベイ、②難民/移民についての人類学/地理学的研究における議論枠組の整理、③現代コロンビアを対象にした民族誌的研究における「避難民」をめぐる記述のサーベイである。 特に③は、「避難民」というフレームを用いていない民族誌にも姿をみせる避難民を通して、避難民の人びとが直面する様々な社会状況/問題を広くとらえ直すと同時に、「避難民としての先住民」という事例の特殊性を考える手掛かりとなっている。とりわけ、コロンビア国内で先住民ではない避難民が避難先でしばしば経験するような行政面での不平等な扱いは先住民の人びとにも共通する。一方、先住民の場合には、言語・文化に関わる面で、さらなる困難に直面することがあるが、一方で、被害者対応のための法文でも論じられる「差異に応じた焦点合わせ」という運営方針のもとに、先住民への対応に変化をもとめる考え方が現地の人権機関においても見られるようになっている。被害者行政というコロンビアに特殊な文脈についてより広い視点をとることは、国内避難先住民が直面する状況から多文化主義を考えることに資するものである。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
covid-19の影響で予定していた現地調査を行なうことができなかったため。その一方で、これまに行なってきた調査の成果をまとめる時間やそれを発表する機会が増えてもいる。現地調査が重要な研究計画なので研究の進捗の遅れは否めないが、事例が位置づけられる枠組を再検討するかたちで、研究活動を進展させている。
|
今後の研究の推進方策 |
2020年度に予定していた現地調査の研究費は繰り越しており、21年度以降、covid-19の感染症対策の進展に応じて現地調査を再開するための準備を進める。一方で、これまでの現地調査を位置づける枠組の再検討、それに応じた文献調査により注力し、現地調査が再会できない場合でも、これまでに行ってきた研究活動を成果発信に生かす筋道をつける。
|
次年度使用額が生じた理由 |
2020年度はもともと現地調査を予定していたが、covid-19の影響のもと、その実施を見送らざるを得なかった。もともとの旅費として想定していた金額の一部は図書費に活用したが、大半を次年度予算に回すことに決めたため。
|