研究課題/領域番号 |
19K13472
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研究機関 | 神奈川大学 |
研究代表者 |
近藤 宏 神奈川大学, 人間科学部, 准教授 (20706668)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 国内避難民 / 先住民 / コロンビア |
研究実績の概要 |
2022年度は、これまでに行った現地調査と文献調査の暫定的な成果をまとめる作業を進めた。具体的には、以下の二つの作業である。ひとつは、コロンビアにおいて国内避難民(IDP)がいかに可視化されてきたのか、という問いについて、IDPの諸権利をめぐる法整備が進んだ1990年代以降からの法制度変遷と、社会における可視性の変化を考察することである。コロンビアにおけるIDPに関連する人類学的研究のほか、コロンビアの都市空間を対象にした民族誌などを分析対象とした文献研究の成果である。この内容については、日本ラテンアメリカ学会で報告を行なったあと、共同研究グループの成果報告の一環として論文の形式にまとめている。もうひとつは、IDPとなった先住民たちのもつ地理学的想像力に関する民族誌的記述である。これは、コロナ禍以前までに行なってきた現地調査のまとめである。こちらも、別の共同研究グループの成果報告の一環として論文の形式にまとめている。そのほか三月に現地調査を行ない、IDPの人びとが避難先で文化的連続性が(それと意識せずに)築いているやり方に、植物利用があることが明らかになった。IDPの人びとは、人的ネットワーク、あるいは市場に流通するものから、移住前の暮らしにおいても利用していた植物の種を都市部にある家屋の脇に植え、部分的に、かつての暮らしで築いていた菜園のような空間をつくっていた。種のポータビリティーを活用した空間形成のあり方と工夫について、23年度に追加の現地調査を行ないたい。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度は、コロナ禍のあいだに進めていた文献調査について、発表や文章の形式でまとめることができたことに加え、コロナ禍以降に行なえなかった現地調査を進めることができたため。
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今後の研究の推進方策 |
コロナ禍によって現地調査が進められなかったため、研究期間を一年延長している。この延長期間には、追加の現地調査を行なう。これまでに行なった調査成果のまとめのほか、今年度に行なう調査結果を研究成果としてまとめるために関連する先行研究のまとめを調査前に進め、研究成果の公表までの期間を短くできるような工夫をする。今年度の調査成果を含む研究成果のまとめは次年度になることが予測される。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナ禍の影響で海外調査を延期し、研究機関を延長しているため。次年度は海外調査の期間を長くするとともに、それに合わせて必要となる物品を購入する予定を立てている。
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