研究課題/領域番号 |
19K13475
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研究機関 | 関西国際大学 |
研究代表者 |
清水 拓野 関西国際大学, 国際コミュニケーション学部, 准教授 (40791520)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 学校化概念の比較考察 / 訪問調査 / 芸歴インタビュー / 文献収集 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、文化人類学の立場から中国伝統演劇・秦腔の俳優教育を分析して、伝統演劇教育の学校化の特徴と長短について明らかにすることである。そして、3種類の中等演劇学校(国営、民営、中央政府所属)の事例分析をもとに、芸能教育の学校化の理論モデルを構築し、それが無形文化遺産芸能の後継者育成問題を考えるうえで大いに役立つ点を示すことである。 以上の目的にもとづき、2019年度は、8月~9月に予定どおり、西安市とその近郊にある3校の民営演劇学校を訪問し、学校化という視点からその俳優教育実践の実態について、基礎的な調査することが出来た。また、陝西省戯曲研究院図書室、西安市戯曲研究所資料室、西安易俗社資料室、陝西師範大学図書館、陝西省図書館などで、秦腔の俳優教育関連の資料の収集をある程度まですることが出来た。さらに、文献資料に記載の俳優教育情報を補うため、80代~50代までの異なる世代の俳優への下積み修行や芸歴に関するインタビューも、15人にすることが出来た。 一方で、秦腔の俳優教育の学校化を相対化し、学校化の概念をより緻密に理論化するために、宝塚音楽学校の研究者と共同研究を行って、日中の芸能教育の学校化の比較分析をした。その成果としては、2019年6月のInternational Conference on Arts and Cultural Managementの研究大会と2020年3月のInternational Conference on Business, Economics and Information Technologyの研究大会での英語の共同発表があげられる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
コロナウイルスのパンデミックによる渡航規制のため、2020年の2月に予定していた西安への渡航が出来なくなった。また、現在の状況では、今夏に予定している中国への渡航も難しいと思われるため、予定よりも現地調査は遅れている。特に、3校の民営演劇学校をもう一度ずつ訪問して、より詳しく情報収集する予定だったのが、果たせないでいる。また、俳優への下積み修行や芸歴に関するインタビューも、当初予定していた半分の人数しかこなせていない。
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今後の研究の推進方策 |
コロナウイルスによる渡航規制がいつまで続くか分らないので、現地調査がいつ再開できるかは不透明である。したがって、現地調査でしか出来ないことは後回しにし、まず出来ることから着手する予定である。 例えば、これまでに収集した文献の読解と分析により多くの時間を割きたい。また、ネットを通して収集できる関連文献の検索も優先的に行う予定である。芸能教育研究や教育史研究などの講読を通して、学校化概念の理論化にも、一層の精力を注ぎたい。 芸歴インタビューに関しては、可能な場合は、できる限りwechatなどのコミュニケーションツールを用いて、日本から遠隔で行う予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナウイルスによる渡航制限のため、2020年2月に予定していた中国出張ができなくなったので、その分の費用が使用できなくなり、次年度使用額が生じた。コロナの状況が落ち着きしだい、行けなかった分の中国出張も今年度中に行う予定であり、翌年度分として請求した助成金と合わせて使用する。
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