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2021 年度 実績報告書

近代コモン・ロー法学における中世法文献の影響:『ブラクトン』を対象として

研究課題

研究課題/領域番号 19K13482
研究機関広島修道大学

研究代表者

松本 和洋  広島修道大学, 法学部, 助教 (00789167)

研究期間 (年度) 2019-04-01 – 2022-03-31
キーワードコモン・ロー / ローマ法 / イングランド法学 / 法格言
研究実績の概要

本年度は前年に引き続き、『ブラクトン』におけるローマ法の影響関係ならびにイングランド法(コモン・ロー)への展開について研究を行った。昨年度に検討した内縁関係者における物への法的権利取得についての『ブラクトン』の著述を元に、イングランド法の展開の基礎でもあった令状による訴訟提起を通じた権利救済の観点から、コモン・ローの初期より利用されていた2種類の訴訟開始令状に対する内縁関係者への適用について検討した。
上記の訴訟開始令状のうち、新侵奪不動産占有回復訴訟令状においては、これが事実上の占有状態の保護を念頭に置いていることもあり、令状の利用自体に関して不動産占有の主な取得原因でもある相続関係の成立が影響を与えないと『ブラクトン』が理解していることが明らかになった。その一方、相続不動産占有回復訴訟令状においては、この相続関係が直接に令状に関係するために、当事者の一方を非嫡出子とされる者が務める場合には、嫡出性の検討が必要と『ブラクトン』は理解するとともに、これを教会裁判所において検証することを求めていることが分かった。ただし、相続不動産占有回復訴訟令状においても、非嫡出子をその利用や当事者適格から排除する趣旨までは含んでおらず、『ブラクトン』はまた内縁者および内縁関係の子どもに関してはローマ法に多くを負いつつも、その権利救済において特段の区別を嫡出子と非嫡出子の間に先天的に置いていないことが確認できた。こうした『ブラクトン』的理解とその後のコモン・ロー法学との関係については、なお検討の余地を残す。
なお、『ブラクトン』が近代において再注目された原因の一つである本書内著述の法格言的利用について、これが明治初期の日本語法格言集にまで伝達された一方、その吸収過程において当初の意味合いから変化していったことを明らかにした。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2022

すべて 雑誌論文 (1件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] 日本における法格言継受への一考察 明治期日本語法格言集の展開とイングランド法学史との比較2022

    • 著者名/発表者名
      松本和洋
    • 雑誌名

      修道法学

      巻: 44-2 ページ: 53-73

  • [学会発表] 非婚姻関係の権利救済 『ブラクトン』におけるローマ法とイングランド法の交錯をめぐって2022

    • 著者名/発表者名
      松本和洋
    • 学会等名
      日本ローマ法研究会第5回大会

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公開日: 2022-12-28  

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