近代ドイツにおける王位継承・王室制度に関する公法学説の展開を跡付けたうえで、明治皇室典範の制定過程および解釈学説に対するドイツ法学の影響を検討し、それを通じて近代日本の皇室法におけるドイツ法継受の実態を明らかにするものである。皇室典範はドイツの学説を参考に「家法」として制定されたが、ドイツ的な自律や既得権の論理は排除された。また、皇室典範の解釈論においてもドイツとの相違が強調される傾向があった。しかしドイツ法学の知見は皇室法解釈論の構築のために積極的に利用されることも少なくなく、全面的受容でも排斥でもないドイツ法学の参照が見られた。
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