決済手段として暗号資産を利用し、ガバナンスツールとして暗号資産、NFT、スマートコントラクトを利用するDAO(分散型自律組織)について、誰も課税されない、どこの国にも課税されない財産を作り出すという問題意識を示した(東京財団政策研究所研究会報告)。 米国における大規模参加型ロールプレイングゲームに関する所得課税の議論の整理と日本法への示唆を考察し、所得税の下で消費に対して直接的に課税する二重課税は回避すべきであること、仮想アイテム等を現金同等物と交換する時まで課税対象外とすべきである一方で、現金同等物との交換までの課税繰延べを認めると、税負担回避行動が横行すること、執行不可能な制度は実行不能であり、執行上の観点から、仮想空間の所得に対する課税最低限を設けて、一定の閾値を超えた場合にのみ、その所得に対して納税義務を負うようにすべきであること、ゲーム運営者から課税庁への情報提供制度を整備すべきであることといった見解が議論の対象になりうることを明らかにした(アコード租税総合研究所報告)。 中央管理者不在で暗号資産やNFTの交換取引等が行われるDeFi(分散型金融)取引について、流動性供給等によるトークンの移転が所得税の課税イベントにならないことを明らかにした。また、分散型デジタル社会における税制の問題として、DeFiで利用されるブロックチェーンやスマートコントラクトの発達は、納税者や課税庁双方の立場から見て、課税関係の判断、申告、課税・徴収手続などあらゆる場面で複雑化・困難化をもたらし、所得区分、課税のタイミング、国内源泉所得、源泉徴収義務、租税条約の適用、消費税の国内外判定に関する判断のほか、申告・納税等の義務の履行、課税情報の提出・収集・交換、納税者への働きかけや税務調査のあり方など様々な論点に影響を及ぼすことを指摘した(日本税法学会関東地区研究会報告)。
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