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2020 年度 実績報告書

「取消訴訟の排他的管轄」論の再考と究明

研究課題

研究課題/領域番号 19K13506
研究機関近畿大学

研究代表者

海道 俊明  近畿大学, 法務研究科, 准教授 (40626933)

研究期間 (年度) 2019-04-01 – 2021-03-31
キーワード取消訴訟の排他的管轄 / 取消訴訟の排他性 / 公定力 / 違法性の承継 / 裁決主義 / 先決問題 / 本案主張制限
研究実績の概要

本研究は、伝統的通説が実体的意味での「公定力」という概念を用いて説明してきた種々の制度や問題点に焦点を向け、いわゆる「取消訴訟の排他的管轄」ないし「取消訴訟の排他性」論をもってこの「公定力」に代替し、整合性のある説明をすることができるのか(あるいはできないのか)、その限界の分析を試みるものである。
まず、本研究では、違法性の承継に係る問題について学説状況を整理し、先行処分の違法性が後行処分の取消訴訟において主張されることの構造分析を行った。その上で、先決問題として設定される先行処分の違法主張の性質を明らかにし、同主張は取消判決の拘束力を経由することで、ひいては先行処分の効力の覆滅を目的としている点から、その主張遮断は(処分の効力の通用力としての公定力を手続的に基礎づける)取消訴訟の排他性によって根拠づけることができることを示した。この点については、成果(海道俊明「先決問題と取消訴訟の排他性に関する一考察ー違法性の承継問題を手掛かりにー」近畿大学法学68巻4号33-64頁)を公表済みである。
また、取消訴訟の排他性は、手続的観点から認められるいわゆる本案主張制限の問題であるところ、同様に手続的観点から本案における主張が制限される場面として、不服申立前置主義ないし裁決主義が採用されている場合が考えられる。すなわち、当該不服申立(審査請求)において当事者が主張せず、したがって審査機関が審理できていなかった事項を後の取消訴訟において主張することができるかという問題である。類似する問題状況を設定する制度の考察から、取消訴訟の排他性による本案主張の遮断の外縁と実質を検討するという見地から、以上の論点を扱った判例の評釈を行い、成果(海道俊明・「判批」判例時報2464号142頁〔最判令和1年7月16日〕)を公表している。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2021

すべて 雑誌論文 (2件) (うちオープンアクセス 1件)

  • [雑誌論文] 固定資産評価審査委員会に審査の申出をした者が同委員会から棄却決定を受け、その取消訴訟を提起した場合に、同委員会による審査の際に主張していなかった事由を取消訴訟で新たに主張することは許されるとされた事例2021

    • 著者名/発表者名
      海道俊明
    • 雑誌名

      判例時報

      巻: 2464 ページ: 142-148

  • [雑誌論文] 先決問題と取消訴訟の排他性に関する一考察 ー違法性の承継問題を手掛かりにー2021

    • 著者名/発表者名
      海道俊明
    • 雑誌名

      近畿大学法学

      巻: 68巻4号 ページ: 33-64

    • オープンアクセス

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公開日: 2021-12-27  

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