本研究は、いわゆる「取消訴訟の排他性」に関わる諸問題を考察し、その射程の分析を試みるものである。 具体的には、違法性の承継に係る問題を取り上げ、同問題に係る学説状況を整理し、先行処分の違法性が後行処分の取消訴訟において主張されることの構造分析を行った上で、その主張の原則的遮断は、取消訴訟の排他性によって根拠づけることができることを示した。 また、取消訴訟の排他性は、手続的観点から認められる本案主張制限の問題であるところ、同様に手続的観点から本案における主張が制限される場面として、不服申立前置主義ないし裁決主義が採用されている場合についても検討を行った。
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