政府職員は、他国で犯罪を行ったとしても、それが「公的資格で行った行為」である限り当地の刑事管轄権から免除される。政府職員の事項的免除と呼ばれる法規範である。本研究は、この事項的免除の理論的根拠を明らかにし、それが国際犯罪にも及ぶか否かを検討することを目的とする。 政府職員の事項的免除については、国家免除の適用によるものとみる見解と、政府職員が公的資格で行った行為はそもそも職員個人の責任は発生しないことによるものとみる見解があるが、先例を検討した結果、職員の当該行為については本国の管理権が認められるため、他国の管轄権行使は不干渉原則によって禁止されるとの理解がとられていることが示された。
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