研究課題/領域番号 |
19K13519
|
研究機関 | 横浜市立大学 |
研究代表者 |
瀬田 真 横浜市立大学, 国際教養学部(教養学系), 准教授 (90707548)
|
研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
|
キーワード | 海洋法 / 海洋ガバナンス / 法の支配 / 国際司法裁判所 / 国際海洋法裁判所 / 仲裁裁判所 |
研究実績の概要 |
2019年度の報告した、The Conflict between Consistency within the Courts and Harmonized Operation of the United Nations Convention on the Law of the Seaを論文としてまとめたが、コロナの影響で出版が遅れ、2020年度もその作業を一部行った。論文は2021年度に出版される予定である。また同様に、2019年度に行った、ReCAAP(Regional Cooperation Agreement on Combating Piracy and Armed Robbery against Ships in Asia)の報告を論文にする作業を行った。ReCAAPは、アジア地域が国際法の発展に対して貢献した実例であり、アジアの法の支配を国際的な法の支配と比較検討する上で、興味深い題材となった。さらに、他の研究とも関連して、北極海における法の支配についての検討も行った。北極圏は、南極のように条約があるわけではなく、また、国際機関が設立されて管理を行っているわけでもない。北極圏の利害を調整するために機能している最も重要な機関は、北極評議会という、あくまでも法的拘束力を有さない政治的合意により設立された機関である。この北極評議会による北極海ガバナンスの貢献は、法規範と非法規範の相対化、国際法における法の支配を検討する上でも貴重な検討材料となった。さらに、船級協会の役割についても研究を開始した。また、昨年度から検討しているプライベート・スタンダードについては、船級協会という私的な業界団体が、国際法規則をどのように補填するかを分析することも、法の支配とガバナンスを検討する上で重要な研究になると考えている。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2019年度での成果であり、2020年度に発表される予定であったものが、COVID-19の影響で発表が遅れてしまった。出版作業が遅れたことがその主要因であるが、出版が遅れるにつれ、情報をアップデートする必要が生まれるなどし、作業が遅れがちとなってしまった。
|
今後の研究の推進方策 |
研究の進め方として、国際シンポジウムなどを、海外に赴き、直接議論することは、COVID-19の影響で著しく難しくなってしまった。他方で、オンラインカンファレンスなどは増加し、そのようなものでの発表、意見交換などは容易にできるようになったため、そういった機会を活用していければと考えている。研究自体については、ISOと船級協会と、二つのプライベート・スタンダードについての研究から得られた知見を一般化することで、海洋における法の支配において、非法規範の果たす役割が少なくないことを示せればと考えている。
|
次年度使用額が生じた理由 |
COVID-19の影響により、予定していた出張等がなくなったため。そのための旅費を、他の物品やソフトの購入に一定程度用いさせて頂いたが、可能であるならば、21年度の旅費として用いたいと考えている。
|