研究課題/領域番号 |
19K13524
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研究機関 | 高岡法科大学 |
研究代表者 |
吉田 靖之 高岡法科大学, 法学部, 教授 (70748285)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 海戦法規 / 武力紛争法 / 海洋安全保障 / 海洋法 / Operational Maritime Law |
研究実績の概要 |
(1)活動実績:研究計画調書に則り、研究1年目の2019年度においては以下の活動を実施した。①特定通常兵器使用禁止制限条約政府専門家会議(ジュネーヴ)に出席し(2019年8月)、自律型殺傷兵器の規制に関する最新の動向についての情報収集と、専門家及び実務家との意見交換を実施した。②国際法学会2019年度研究大会に参加し(2019年9月)、その席上、武力紛争法専門家と戦闘の手段及び方法の規制に関する武力紛争法規則について意見交換を実施した。③国際海洋法裁判所の判例(M/V Norstar事件)(2019 年4月)について研究し、その成果を国際判例事例研究会において報告した(2019年11月)。④国際安全保障学会2019年研究大会(2019 年12月)において、自衛権に関する報告の討論者を務めた。⑤国際海洋法裁判所の現役判事の知見に触れるため、中央大学国際法研究会参加し(2020年2月)、海洋法に関する国際判例の動向について情報を収集した。 (2)成果物:(1)項で記した2019年度の活動の具体的成果として、以下に記す論説を執筆した。これらは、現時点においては査読或いは編集作業の途上にある。①ジュネーヴ出張の成果として、「自律型致死兵器システムの規制をめぐる最近の動向ー特定通常兵器使用禁止制限条約政府専門家会合における議論を中心にー」『国際公共政策研究』第25巻1号(2020年9月)出版予定。②その他の活動の成果として、"Legal Status of Unmanned Maritime Vehicles (UMVs) Revisited: A Japanese Perspectives", in J. Schildknecht et al eds., Operational Maritime Law, Vol.2 (Springer, 2020)(2020年12月出版予定)。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究1年目は、戦闘の手段の規制に関する武力紛争法の関連規則からのアプローチによる現状分析という研究の導入部分の完成と、海戦の手段の運用にかかわる海戦法規上の論点という研究2年目のイントロダクションに着手することができた。それらの成果として、論分×2(日本1、英文1)を執筆し、現在、それぞれ査読中である。特に英文論文については、この分野における日本人による発信としては初の業績でもあり、査読の通過を切に期待している。 研究計画2年目の開始時点である現在においては、上述の研究2年目の論点のさらなる精緻化とその論理的考察の展開に関する検討に着手している。検討は原則として研究計画調書にしたがって実施するが、途中で武力紛争法専門家との意見交換等により、論点の修正或いは一部変更はあり得る。
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今後の研究の推進方策 |
研究計画調書に従い、2年目(2020年度)は、無人海上防衛システム(UMS)の海戦の手段としての位置付けについて、主として海戦法規(武力紛争法)からのアプローチにより検討を行う。具体的な活動として、可能であれば学会報告を実施するとともに、報告内容を論文として再構成し、適切なメディアに発表する。なお、そのために、今年度もOpwerational Maritime Lawの専門家との意見交換及び関連する分野における最新の情報収集のため、欧州方面への海外出張のほか、学会及び研究会参加のための国内出張を計画している。併せて、必要な文献資料の収集にも継続的に務める所存である。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型ウイルス禍の影響により、計画していた学会等への参加を取りやめたため。
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