研究課題/領域番号 |
19K13526
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研究機関 | 国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構 |
研究代表者 |
篠宮 元 国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構, 第一宇宙技術部門地球観測研究センター, 主査 (70815646)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 宇宙法 / 第三者賠償 / 紛争解決手続 / 免除 |
研究実績の概要 |
宇宙空間の活動については、企業活動であっても国家責任を発生させることが指摘されている(国家への責任集中原則)。しかし、企業による宇宙ビジネスが活発化し、宇宙空間で第三者に損害を与える事態が引き起こされうる中で、損害を受けた第三者から当該企業に対して民事責任が直接問われる可能性も指摘されつつある。そのため本年度は、このような事態を念頭に、紛争解決手続と責任を中心に検討を進めた。 先行研究の検討等を通じ、宇宙空間の活動に関係する紛争については、様々な紛争解決手続の活用が想定されることを確認した。その上で、紛争主体が国家であるか企業であるかという点に着目し、上記のような国家間の国際法に基づく責任追及と企業間の民事法に基づく責任追及の並在について、紛争解決手続と責任の観点から法的な構造整理を行った。そして、並存が引き起こされる理論的背景として、企業が国内的な救済措置を尽くすことを被害者保護の観点から不要とした、宇宙損害責任条約の規定の存在が考えられることを明らかにした。 また紛争解決手続を活用する際の課題として、並在する責任追及の調整が現状では不明確であり、被害者保護や訴訟経済の観点からも明確化に向けた対応が求められることや、安全保障にも関わる宇宙ミッションへの企業の関与が想定される中で、宇宙活動における主権免除の射程を明らかにすることを識別し、若干の検討を行った。 これら研究成果を、第64回宇宙科学技術連合講演会において発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
新型コロナウィルスによる移動渡航制限等を受けて、当初の研究計画は変更を迫られた。しかし、オンライン等も活用した有識者との意見交換、入手可能な各種資料の分析、および論点検討等を着実に進めることで、全体としてはおおむね計画通りに研究を進め、成果を発表した。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き新型コロナウィルスの状況に柔軟に対応しながら、課題として識別された点を中心に研究を進める予定である。なお研究の最終年度に入るため、これまでの考察を踏まえた検討にも取り組みたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度使用額が生じた主な理由は、新型コロナウィルスによる移動渡航制限等を受け、旅費支出が想定以下となったことによる。次年度では、新型コロナウィルスの状況次第ではあるが、旅費に充当するとともに、研究遂行に必要な各種資料等の調達に使用予定である。
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