研究課題/領域番号 |
19K13529
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研究機関 | 立教大学 |
研究代表者 |
島村 暁代 立教大学, 法学部, 准教授 (30507801)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 定年延長 / 所得保障 / 高齢者 / 労働契約 |
研究実績の概要 |
本研究は、高齢期の所得保障制度に関して国家の果たすべき役割とは何かを考察することを目的とするものであるが、2020年度には予定していた海外出張が、コロナの蔓延に伴って実施できなかった。そこで、日本の法制度に関する問題状況を考察することに主眼を置いて研究を進めた。具体的には、定年延長に関する裁判例の評釈をしたり、高齢期の就労や所得保障の内容を概観する原稿を執筆したりした。いずれもいまだ校正段階にあり、公表されてはいないが、高齢期を迎えるにあたって人々が選択しなければいけないことはたくさんあることを示している。例えば、何歳まで働くか、働くとしてどれくらい働くか、いつから年金を受給するか、いつiDeCoの給付を受給するかなど、税制面にも配慮しながら、決める必要があることを提示した。現行の仕組みは、雇用法制と年金法制が複雑に絡み合い、わかりづらくなっているので、できるだけわかりやすく解説するように心がけて、原稿を執筆したところである。国家の役割との関係での分析は今後の課題である。 また、外国法との関係では以前より執筆していたチリの年金制度に関する論考について、出版の関係で遅れが出ているため、情報のアップデートを行った。また、ブラジルとの関係では2017年の労働法改革によって導入された間欠的労働についての報告を行った。これは高齢者が就労する場合にも利用されうる雇用形態であり、ブラジルの労働市場の実態を知る上で、重要なものであると考えている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
予定していた海外出張がコロナの蔓延に伴い、実施することができなかったので、予定よりは遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
日本に関しては高年齢者雇用安定法が改正されるとともに、年金制度に関する法改正が2020年に行われたところであるため、その意義を整理し、問題点や課題を提示する論文を執筆しているところである。論文の中では、高齢期の所得保障法制を検討する上で国家が果たすべき役割についても言及していきたいと考えている。また、海外出張についてはひきつづき、コロナの影響で難しいことが予想される。そのため、できるだけインターネット等で知りうることを頼りに情報をアップデートしていきたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
予定していた海外出張にコロナのために行くことができなかったので、次年度使用額が発生した。次年度使用額については、文献等の整理のために主として人件費として使用し、次年度分については、物品費や旅費として使用することを計画している。
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備考 |
「ブラジルの間欠的労働契約」について2020年12月21日に開催された学外の研究会にて報告した。
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