研究課題/領域番号 |
19K13533
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研究機関 | 龍谷大学 |
研究代表者 |
嶋田 佳広 龍谷大学, 法学部, 教授 (40405634)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 生活保障 / 公的扶助 / 住宅保障 |
研究実績の概要 |
当初の予定にはなかったことが積み重なったことから、ひとまず研究機関を一年延長して臨んだ。所属学会での報告準備など、見た目には迂遠なテーマともかかずらったが、結果として、生活保障法制度の普遍性について認識を新たにすることができ、コロナも含む災害的状況における支援(なかでも金銭給付による所得保障)の実効性に関しては、将来的な在り方も一定程度展望することができた。なかでも近年大きな注目を集めているベーシックインカムについて、その法的評価は緒に就いたところではあるものの、プッシュ型支援の一つのかたちとしては有用性を肯定できる可能性もあり、現行モデルへの対抗軸として日本における在り方を考えることができた(プル型、申請型の一種の限界があらわになっていることとの関係が重要である)。災害法制との接続についてはまだボヤッとした関係整理しかできていないが、困っている人へのアプローチという支援の総論の枠組みでは理論的に得たものが少なくない。居住保障の総論的検討も、まだ一部は整理の段階にとどまっているところもあるが、状況の俯瞰はできてきている。日本の生活保護についても、裁判例の積み重ねによってその法的課題が見えてきたところもあり、その点について考慮をある程度深めることができた。新年度に向けては、全体状況が落ち着いていたことに鑑みて、研究開始時点とはいろいろ変わってはきているものの、実地調査などの可能性を探ることとしたい。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
開始時点の柱にしていた項目が環境上の問題もあってなかなか進まず、方向を転換したうえで可能な形での文献研究を引き続きおこなっている。ただし進捗状況の評価としては当初の予定通りとはなっていない。23年度中にはおかれている状況の変化が一定程度見通せるところもあり、それにあわせるかたちで追い込みを図る。
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今後の研究の推進方策 |
困難が続いたものの、国内(日本法)の状況整理はある程度まで進み、あわせて、ドイツ調査の可能性も見えてきた。災害ともいえる状況が間延びしているのは日独とも同じでであるが、ドイツは最低生活保障制度を果敢に変化させており、そうした動向の変容を追いかけることを中心に、当初の課題意識を発展させていくつもりである。
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次年度使用額が生じた理由 |
22年度においては文献研究が主たる研究内容であり、予算を伴う出張を計画するに至らなかったため。
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