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2023 年度 実績報告書

不作為による死体遺棄罪の終了時期と公訴時効の成否

研究課題

研究課題/領域番号 19K13549
研究機関國學院大學

研究代表者

山下 裕樹  國學院大學, 法学部, 准教授 (20817150)

研究期間 (年度) 2019-04-01 – 2024-03-31
キーワード不作為犯 / 死体遺棄罪 / 犯罪の終了時期 / 状態犯 / 継続犯 / 公訴時効
研究実績の概要

2023年度において、アウクスブルク大学(ドイツ)教授へのインタビューを実施し、同大学図書館にて、日本では入手不可の独語文献を入手した。ここでは、犯罪の終了時期という概念は規範論的には不要な概念であるが、手続法との関係において、公訴時効の起算点を決定する等の機能的な概念としてはなお意義を有するのではないか、逆に言えば、それに資することのできない理論は犯罪の終了時期の理論として不十分なのではないかとの示唆を得た。なお、出張を実施できたのは年度末(2月)であり、そこで手に入れた文献の精読・分析作業は現在進行中である。
本研究では、①ドイツおよび日本における犯罪の終了時期に関する学説を調査し、分析・整理した。通説は、犯罪の終了時期は最終結果の発生時点だと理解しているが、これによれば、本研究の中心にある死体遺棄罪のような危険犯では、危険が残存する限り結果が発生し続けていると考えられることから、犯罪の終了時期が到来しないことになる。しかし、この危険犯に関する犯罪の終了時期の理解は、公訴時効の起算点を決定するという機能を欠き、不適切なものである。
本研究では、②死体遺棄罪における「遺棄」概念を、学説・判例を整理・分析した上で、その保護法益を考慮しつつ検討した。一般人の宗教感情・敬虔感情という死体遺棄罪の保護法益からすると、葬祭義務者による適時適切な埋葬を阻害する行為が「遺棄」に該当する。この理解においては、葬祭義務者自身が埋葬しないという不作為による死体遺棄罪の場合にも、一定期間を過ぎれば「適時適切」な埋葬は実現不可能となるから、犯罪の終了時期が到来したと解すべきことになる。これは、一定期間の経過を重視する公訴時効制度の趣旨および機能的概念としての犯罪終了時期の理解にも合致する。
この本研究の成果は、公訴時効の実質的撤廃を実現する通説的理解を牽制・制限するものであり、意義がある。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2024

すべて 学会発表 (1件) (うち招待講演 1件)

  • [学会発表] 不作為による死体遺棄罪と公訴時効の起算点2024

    • 著者名/発表者名
      山下裕樹
    • 学会等名
      法曹三者若手勉強会
    • 招待講演

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公開日: 2024-12-25  

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