本研究の意義は、第一に、双務契約の牽連性について、従前は対価関係と異論無く考えられてきたのに対して、発生原因の同一性に基づく法的牽連性という新たな視点を提示した点にある。第二に、従前は必ずしも明確にされているとは言い難かった、相殺の担保的機能の2つの基礎理論を明確に示して、改正民法の規律の位置づけを明確化した点にある。第三に、債権法改正によって新たに生じた、倒産手続開始決定後における債務不履行解除権の成否の問題について、従前の議論を整理し、あり得べき理論を示した点にある。第四に、これも従前は必ずしも明確にされているとは言い難かった、フランス法における直接訴権の位置づけを、明確に示した点にある。
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