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2020 年度 実施状況報告書

参加形態相互間の役割分担の再構築に向けた序論的・比較法的考察

研究課題

研究課題/領域番号 19K13551
研究機関北海道大学

研究代表者

伊藤 隼  北海道大学, 大学院法学研究科, 准教授 (10756589)

研究期間 (年度) 2019-04-01 – 2022-03-31
キーワード民事訴訟法 / 補助参加 / 判決効 / ドイツ法 / イタリア法
研究実績の概要

令和2年度は、前年度にひととおり跡づけたドイツ法の議論をとりまとめるとともに、イタリア法の議論にさらに踏み込んで、周辺に位置する種々の関連制度との連関にも着目しつつ、補助参加の機能ないし役割について考察を深めた。そこにおいては、参加訴訟で主張されている法関係と第三者の法関係との間に先決従属性が認められる場合に補助参加が許容されるという結論それ自体には基本的に一致があるものの、反射的効力に対する論者のスタンスの差異が補助参加の利益ないし適格の実質的な根拠の把握の仕方に反映されるという関係が看取される。とともに、補助参加人が参加の結果(完全に)既判力に服することとなるとの特有の規律に鑑みて、補助参加と第三者の法関係に関する確認の訴えまたは訴訟担当との連続性が多かれ少なかれ意識されつつ、その地位に関する細かな規律が論じられているのを見て取ることができる。研究成果(の一部)は、法学協会雑誌上に「補助参加制度の機能に関する一考察(一)~(三・未完)」として公表済みである。
上記の作業と並行して、外国法から得た知見を日本法にいかに還元し得るかの考察にも取り組んでいる。具体的なビジョンは未だ十分には描ききれていないものの、ドイツ法、イタリア法の議論の参照から、(いささか閉塞感のあるように窺われる)わが国の議論に一定の広がりの可能性を与えることはできるのではないかとの感触を抱いている。次年度は、一定の魅力的な選択肢の可能性を提示しながら、上記の論文の完結を目指すこととなる。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

新型コロナウイルスの影響によって一定の軌道修正を余儀なくされはしたものの、ドイツ法の議論に関する研究成果をとりまとめるとともに、イタリア法についてもひととおりの見晴らしを得て、一部を紀要に公表することができた。もっとも、図書館の利用が全般的に制限され資料収集を思うように行えず、当初予定していたようには調査・執筆を進められなかったため、やや遅れていると評価した。

今後の研究の推進方策

イタリア法に関する調査・研究を継続して成果をとりまとめたうえ、日本法の従来の議論を精査しつつ、外国法(ドイツ法・イタリア法)から得られた知見をいかに日本法に還元するかを(より)具体的に考える作業に移っていくこととなる。あまり期待はできないものの、状況が好転すれば、国内外の研究者と積極的にコンタクトを取りながら研究を進めていく予定である。

次年度使用額が生じた理由

前年度途中に追加交付決定を受けた「若手研究における独立基盤形成支援(試行)」の繰越金があったほか、新型コロナウイルス感染症の影響から、予定していた複数会の国内外出張を見送らざるを得なかったため、多くの次年度使用額が生じた。これについては、今後の情勢次第ではあるが、追加調査・研究のための旅費のほか、必要な図書の購入に充てる予定である。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2021 2020

すべて 雑誌論文 (3件)

  • [雑誌論文] 補助参加制度の機能に関する一考察(三)2021

    • 著者名/発表者名
      伊藤隼
    • 雑誌名

      法学協会雑誌

      巻: 138巻2号 ページ: 1―77

  • [雑誌論文] 補助参加制度の機能に関する一考察(二)2020

    • 著者名/発表者名
      伊藤隼
    • 雑誌名

      法学協会雑誌

      巻: 137巻10号 ページ: 1―76

  • [雑誌論文] 補助参加制度の機能に関する一考察(一)2020

    • 著者名/発表者名
      伊藤隼
    • 雑誌名

      法学協会雑誌

      巻: 137巻7号 ページ: 1―89

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公開日: 2021-12-27  

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