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本年度も、これまでの成果を踏まえ、それを、量的・質的に補充しつつ、「事実的基礎としての意思とその法的構成」と題する論文において公表した。本年度公表部分においては、第一に、法律行為論につき、引き続き『意思表示について』に示されたサレイユの法律行為論の内容を確定する作業を行ったうえで、それを同時代の仏独民法学と対比するとともに、今日に至る日本民法学と対比した。そのうえで、第二に、一方でサレイユの法人論と法律行為論とに共通して見られる特徴を示すとともに、第三に、他方でサレイユの法学方法論の内容をいくつかの著作から構成する作業を行い、第四に、それらの関係を論じた。全体を通じて、サレイユの民法学のうちにいわば「事実的基礎としての意思とその法的構成」及び「事実的観察による前法的規範の定立と法的構成による法的規範の定立」という2つの法学的方法を見出すことができ、そこから日本民法学への示唆を得ることができる、ということを示し、要旨は学会でも報告した。
本研究の中核をなす以上の研究の周辺においても、サレイユの法人論及び法律行為論に関して、一方で、仏独民法学における通時的な位置付けについては、近時の両国における本格的な研究に接しながら考察を行ったものの論文の形で公表するには至っていないが、他方で、日本民法学との対比の延長線上において、特に日本民法典との関係についてさらに考察を行い、その成果の一部を公表すべく「民法典総則編における法律行為の概念」と題する論文を執筆した。また、サレイユの法学方法論に関して、一方で、仏独民法学における位置付けについては、当時や近時の文献に接しながら考察を行ったものの論文の形で公表するには至っていないが、他方で、日本民法学における位置付けについて、上記主論文での検討を踏まえつつ別途検討を行い、「法解釈における事実的観察と法的構成」と題する論文において成果を公表した。
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