研究課題
若手研究
本研究では、契約当事者の意思表示に合致がない事項を補充するという契約内容の補充の問題に対して、契約当事者の意思と客観的規範とがどのような関係にあり、どのような役割を果たすのか検討した。そして、契約内容の補充は、法的評価を経ていない客観的事実に対して法的拘束力を付与するために規範的評価を加える作業であり、その際、契約当事者の意思が第1の拠り所となるわけではないことを明らかにした。
民法
契約内容の補充の方法に関して民法典に規定はなく、現状では、これについて裁判官がとるべき明確な思考枠組みはなく、そのため、補充される契約内容に関して訴訟当事者の予見可能性は高くないといえる。本研究は、客観的規範を直接の根拠として補充される契約内容を導出することが妥当であると考え、予見可能性の高い契約内容の補充に関する理論的枠組みを確立しようと試みたものであり、この点で社会的意義を有している。