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2023 年度 実績報告書

裁判手続を通じた法の実現に関する考察

研究課題

研究課題/領域番号 19K13563
研究機関広島大学

研究代表者

安永 祐司  広島大学, 人間社会科学研究科(法), 准教授 (10807944)

研究期間 (年度) 2019-04-01 – 2024-03-31
キーワード法の実現 / 司法制度改革 / 民事裁判 / 民事執行 / 差押禁止債権 / ダブルトラック
研究実績の概要

本研究は、司法制度改革において提示された「21世紀の我が国社会において司法が果たすべき役割」が、現在どれほど果たされているか、その後の社会の変化に対してどのような対応がされてきたか、あるいは今後どのように対応すべきかについて、幅広く検討することを目的としている。
2023年度における研究のうち重要と思われる成果は次の2点である。
第1に、債権の差押禁止の問題である。強制執行の制度設計にあたっては、その実効性を確保する必要がある一方で、強制執行を受ける債務者個人の生活を保障すべき点にも留意が必要である。本研究代表者は、2023年度、法務省がこのような認識から実施した外国法制調査に関与する機会を得、ドイツにおける給料債権および預金債権に対する差押禁止の規律について紹介・検討した。まず、給料債権につき、債権者と債務者の利害状況について緻密な検討の上で詳細な差押禁止規定(最低差押禁止額、債務者が扶養する者がいる場合の差押禁止額の加算の仕組み、複数の給料債権を有する場合の合算の仕組みなど)が置かれている。また、差押禁止口座にかかる預金債権については、我が国におけるように差押取消しを申し立てることなく、一定額について自動的に差押えを禁止してもらえることになっている。いずれも債務者の生計費確保にかかる手続的負担を軽減するという利点があるが、立法論としては、制度が複雑となるため、関係当事者(特に、使用者や金融機関)の体制整備にかかる負担や実際の運用における手続的な負担について留意が必要であると指摘した。
第2に、民事差止訴訟と行政訴訟の併存(ダブルトラック)問題の解消の方向性について、2021年度に、特定商取引法の場面を取り上げて立法論的な検討を加えたところ、2023年度は、特に景品表示法の場面を念頭に置いた検討を行った。
なお、研究期間全体を通じた成果については、研究成果報告書を参照されたい。

  • 研究成果

    (10件)

すべて 2024 2023

すべて 雑誌論文 (9件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] ドイツ2024

    • 著者名/発表者名
      安永祐司
    • 雑誌名

      公益社団法人商事法務研究会『差押禁止債権の範囲の定め等に関する調査研究報告書』

      巻: - ページ: 1-65

  • [雑誌論文] 口頭手続を排斥した書面手続の拡大・創設可能性2023

    • 著者名/発表者名
      安永祐司
    • 雑誌名

      法律時報

      巻: 95(11) ページ: 26-31

  • [雑誌論文] 行政によるエンフォースメントと訴訟によるエンフォースメントの関係2023

    • 著者名/発表者名
      安永祐司
    • 雑誌名

      ジュリスト

      巻: 1592 ページ: 93-97

  • [雑誌論文] マンションの建替え等の円滑化に関する法律76条3項および民事執行法156条2項に基づく混合供託の要否2023

    • 著者名/発表者名
      安永祐司
    • 雑誌名

      令和4年度重要判例解説(ジュリスト)

      巻: 1583 ページ: 114-115

  • [雑誌論文] 全部勝訴当事者が直接主義違反を理由として上訴をする場合の上訴の利益2023

    • 著者名/発表者名
      安永祐司
    • 雑誌名

      法学セミナー

      巻: 822 ページ: 110-111

  • [雑誌論文] Extending the Application of an Arbitration Agreement Involving a Corporation to Include its Representative2023

    • 著者名/発表者名
      Yuji Yasunaga
    • 雑誌名

      Japan Commercial Arbitration Journal

      巻: 4 ページ: 45-51

  • [雑誌論文] 訴訟告知と参加的効力2023

    • 著者名/発表者名
      安永祐司
    • 雑誌名

      民事訴訟法判例百選(第6版)(別冊ジュリスト)

      巻: 265 ページ: 206-207

  • [雑誌論文] 両当事者が口頭弁論期日に2回連続で出頭しなかった場合の訴えの取下げの擬制2023

    • 著者名/発表者名
      安永祐司
    • 雑誌名

      法学セミナー

      巻: 828 ページ: 122-123

  • [雑誌論文] 第4 モデル事業の結果の分析 3 強制執行に関する支援2023

    • 著者名/発表者名
      安永祐司
    • 雑誌名

      公益社団法人商事法務研究会『令和4年度養育費の不払い解消等に向けた自治体における法的支援及び紛争解決支援の在り方に関する調査研究報告書』

      巻: - ページ: 70-76

  • [学会発表] 行政によるエンフォースメントと訴訟によるエンフォースメントの関係2024

    • 著者名/発表者名
      安永祐司
    • 学会等名
      行政法研究フォーラム

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公開日: 2024-12-25  

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