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2019 年度 実施状況報告書

非典型担保の倒産手続における処遇に関する統一的理論の解明

研究課題

研究課題/領域番号 19K13571
研究機関早稲田大学

研究代表者

加藤 甲斐斗  早稲田大学, 法学学術院, 助手 (60823680)

研究期間 (年度) 2019-04-01 – 2023-03-31
キーワード非典型担保権 / 法形式 / 法律構成 / 経済的実質 / 譲渡担保権 / 所有権留保
研究実績の概要

最判昭和41年4月28日民集20巻4号900頁(以下、「昭和41年判決」という)以降、所有権移転形式の下に行われる債権担保契約の倒産手続上の処遇を論ずるに当たっては、その担保権的実質が重視され、その法形式や法律構成は軽視されてきた 。しかしながら、近年では、ファイナンス・リース契約の法律構成に着目して、リース業者が事実上担保権実行中止命令や担保権消滅許可請求といった担保権の実行を制約する民事再生法の諸制度から免れることを肯定していると解釈しうる裁判例(東京地裁平成15 年12 月22 日判タ1141 号279 頁)も出現しており、各種非典型担保権の法形式、法律構成の倒産手続における意義は不明確なものとなっている。
そこで、本年度では、各種非典型担保権の法形式、法律構成が別除権該当性及び倒産手続開始時における対抗要件要否の文脈においてどのような役割を有しているのか、現在までのこれらの議論の変遷を参照し、その分析を試みた。具体的には、昭和41年判決以前と以降における判例、裁判例が非典型担保権を別除権と認定する際の考慮要素、国税徴収法42条の制定、昭和41年判決の登場以降における別除権説の根拠の変遷等を検討し、また、現在問題となっている倒産手続における所有権留保の対抗要件の具備の要否について、所有権留保の事態的法律構成に関する判例、学説等を参照しつつ分析を行った。本分析結果は、早稲田法学等に掲載する予定である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

非典型担保権の実体法上の処遇及び倒産手続上の処遇に関する文献には数多くのものが存在し、これらを網羅的に収集、分析するためには時間を要するため。

今後の研究の推進方策

非典型担保権の倒産手続上の処遇を論ずるに当たっては、その担保としての経済的実質を前提としてこれまで別除権該当性等の議論がなされてきたが、そもそも経済的意味における「担保」とは実体法上、倒産法上どのように定義するべきか、またこの定義の中で法形式や法律構成がいかなる役割を有するのかが問題となる。今後は「担保」としての定義、法形式や法律構成の役割の検討を行いつつ、非典型担保権の倒産手続上の処遇に関する従来の議論を網羅的に検討することとしたい。

次年度使用額が生じた理由

次年度使用額が生じた理由は、研究をすすめていくにあたり、米国連邦倒産法の「適切な保護」の議論に関する文献の他に「担保付債権」に関する文献、担保目的物の額に関する文献も必要となったからである。
上記使用額については、上記文献の他、前年度以降に公表された、非典型担保権の倒産手続上の処遇に関する文献の入手、印刷等に使用する予定である。

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公開日: 2021-01-27  

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