研究課題/領域番号 |
19K13575
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研究機関 | 平成国際大学 |
研究代表者 |
鈴木 尊明 平成国際大学, 法学部, 講師 (50739638)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 民事法学 / フランス法 / 分別の利益 / 付従性 |
研究実績の概要 |
4年計画の3年目にあたった2021年度においては、前年度までの検討を踏まえ、保証に認められる性質についての検討を進めた。すなわち、保証には別個債務性・付従性・随伴性・補充性などの性質が認められると説かれるところ、それぞれの性質のどのような性質を盛るのか、そもそもどういったものを保証の性質に挙げるのかという点から定見が確立されていないことがわかっている。そのうちでも、保証の本質ともいうべき付従性の検討に注力した。従来の判例の検討を進める中で、主債務と保証債務の時効援用を中心に、付従性と異なる説明の仕方が用いられる場面が多いことが整理できた(保証の「担保としての性質」で説明されることが多い)。 比較法の対象にとったフランス法での分析も同時に進めているところ、我が国以上に保証についての議論の蓄積が豊富なこともわかってきている。すなわち、債権法改正以来、新条文の解説(あるいは注釈)がメインとなりがちな我が国と異なり、同じく契約法改正があったフランスにおいては、なお本質的な議論がなされていることは羨ましいとすら言える。その理由は定かでないが、改正に至るまでの議論が我が国より長時間かけられたことや、ヨーロッパ内での私法統一の影響、コモンロー諸国との接合(アメリカ法・イギリス法)といった複雑な要素があったがために、改正後も多角的な議論が積み重ねられているのだと推察される。 我が国同様、フランスでも保証の本質は付従性であるが(他の国でも同様)、その捉え方にはニュアンスの違いがあるように思われる。付従性の内容を具体化した条文を多く置いていることもあるが、主債務と切り離された保証の存在が検討されている点は参照の価値がある。これらを確認できたことが実績といえる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
計画1年目・2年目に実施予定であったフランスでの資料調査等を、新型コロナウイルス禍で続けて見送らざるを得なかった。幸いにして、オンラインの方法によってフランスの専門家との情報交換も実施できたが、日本との状況の差(ある程度行動が再開している)もあり、若干停滞感があったことは否めない。 フランスでの活動の代わりに資料収集に注力したが、
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今後の研究の推進方策 |
計画の最終年度になるものの、新型コロナウイルス禍が落ち着いてフランスでの資料収集や専門家との情報交換を実施できるとは思われない。この点については諦める。 ただ、日本国内での研究会等は再開しており、そちらでの成果報告や専門家との情報交換を中心に活動することとしたい。国外での活動は今後の課題とする。
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