本研究は、アメリカ法及びイギリス法との比較法的見地から、不正競争防止法2条1項1号のもと、非類似の物品に対する形態をどのように保護すべきか、及びその保護の根拠・存在意義を明らかにするものである。申請時点での予定では、本研究は3年間の研究期間を予定していたものの、新型コロナウイルス感染症の影響により、研究計画に大きな影響が生じ、2022年度も補助事業期間を延長して研究を継続した。計画変更後の同年度においては、研究成果の取りまとめを行うこととしていた。 これまでに、イギリスにおいて現地研究者との面会・研究打ち合わせを行い、また資料収集を行った。さらにその後、新型コロナウイルス感染症の影響により、研究方法が文献調査に限られることとなったが、継続してPassing offによる形態保護に関する検討を行った。こうしたイギリスPassing offによる形態保護に関しては、日本工業所有権法学会2022年度研究会(2022年6月11日、早稲田大学)にて、「イギリスPassing offによる商品形態保護―機能的特徴の扱いに焦点をあてて―」とのタイトルで研究報告を行った。この研究報告については、加筆修正のうえで、論文として日本工業所有権法学会年報46号(2023年6月刊行予定)に掲載される予定である。 もっとも、研究の過程において、特にイギリス法においてはそもそも商品形態の保護のハードルが比較的高いことが明らかになるなど、非類似の物品に対する形態をどのように保護すべきか、及びその保護の根拠・存在意義を明らかにするという目的を有する本研究の取りまとめは、2022年度においても達成することができず、翌年度以降に実現を期することとした。
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