研究課題/領域番号 |
19K13585
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研究機関 | 法政大学 |
研究代表者 |
油本 真理 法政大学, 法学部, 教授 (10757181)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | ロシア / 汚職 / 反汚職政策 |
研究実績の概要 |
今年度も、昨年度に引き続き、(1)野党勢力による汚職批判が政権に与える影響、および(2)政権による各種の反汚職政策、に関する研究を進めた。まず、(1)については、ロシアの反体制派活動家として知られるナワリヌイ陣営を主軸とした考察を行った。このテーマは、ウクライナ侵攻に伴う国内状況の変化にも大きな影響を与えており、社会的な関心も高かったことから、「ウクライナ侵攻と反戦デモ」(IDEスクエア「世界を見る眼」、2022年4月公開)を執筆した。同論考は2022年の侵攻後にロシア国内で生じた反戦デモを、2010年代以降の抗議運動の流れに位置づけようとするもので、ナワリヌイ陣営によって実施されてきたこれまでの抗議運動を改めて評価する試みでもある。(2)については、昨年度に執筆したペーパー「プーチン期のロシアにおける汚職と反汚職」をさらにブラッシュアップし、論文としての公刊につなげるための準備作業を継続した。第一に、反汚職政策の実施をめぐる理論的な文献を渉猟するとともに、既に入手している各種ロシア語資料の精査を行った。第二に、反汚職政策を推進する立場にあり、またこうした政策によって大きな影響を受ける諸エリート集団の動向についての検討を進めた。より具体的には、ロシアにおける政治・経済の中枢がどのようなエリート集団によって動かされているのかについての既存の研究をレビューしたうえで、近年の政治状況の変化の中で、各集団を構成するエリートの顔ぶれや力関係がいかなる変化を遂げたのかについての情報収集・検討を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究課題の遂行にあたってはロシアのケーススタディを充実させる必要があるが、2022年2月のウクライナ侵攻の開始により、現地調査の見込みが立たなくなったため。
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今後の研究の推進方策 |
次年度は、各種のデータベースや既に入手している資料に基づいて可能な限りケーススタディの執筆を勧めるとともに、着眼点を工夫し、他国との比較なども含めた新たなアプローチを模索することにしたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
ロシアによるウクライナ侵攻の開始により現地調査の見込みが立たなくなり、当初予定していた旅費の支出がなくなったため。
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