研究課題/領域番号 |
19K13591
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
河村 有介 神戸大学, 国際協力研究科, 助教 (00784125)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | アラブの春 / 社会保障改革 / 中東・北アフリカ / 権威主義体制 / エジプト / チュニジア / ヨルダン |
研究実績の概要 |
本研究は、エジプト、チュニジア、ヨルダンという、中東・北アフリカ地域の3ヶ国を事例として、社会保障制度改革における政治指導者の選択が国民にどのような影響をもたらし、それが権威主義体制にどのような効果をもたらしたのか明らかにすることを目的としている。 初年度である本年度は、事例3ヶ国における「アラブの春」以後の社会保障政策の動向についての先行研究の整理・分析を行なった。申請者は、これまでエジプトを主たる対象として研究を進めてきたため、ヨルダン、チュニジアの社会保障政策の動向分析が不十分であった。そのため本年度は、チュニジア及びヨルダンの事例分析を重点的に行なった。 また、事例研究と並行して、これまでのエジプトの社会保障制度に関する研究成果を発表した。6月に英国・リーズで開催された英国中東学会(British Society for Middle Eastern Studies)年次大会では、現代エジプトにおける社会保障政策と民間慈善団体による福祉事業との競合・共存関係についての分析を行なった。また、10月には、エジプト・カイロで開催された第4回中東・北アフリカ社会政策ネットワーク会議では、エジプトを事例としたアラブ共和制権威主義国家の社会保障制度についての分析枠組みについての報告を行ない、さまざまな研究者からフィードバックを得ることができた。さらに12月には、中国・復旦大学に客員研究員として滞在し、同大学陳樹渠比較政治発展研究センター主催の研究講演会で報告する機会にも恵まれた。そして、これらの研究報告でのコメントをもとに論文を修正し、英国・ダラム大学編集のワーキングペーパーとして刊行した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は、当初の予定通り、事例3ヶ国に関する文献調査が進展し、本研究におけるインプットが進んだ。その一方で、3件の英語での口頭報告、1件のワーキングペーパー出版を行ない、アウトプットも進んだため、上記のように評価した。
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今後の研究の推進方策 |
来年度は、今年度中に実施したエジプト研究に基づいた理論枠組みの構築・発表及び事例3ヶ国についての先行研究分析を踏まえ、事例3ヶ国の比較分析を行なうための理論枠組みの修正・精緻化を目指す。また、修正・精緻化した理論枠組みに基づいて、より詳細な事例分析を行なうため、現地に渡航し、事例3ヶ国における社会保障政策に関係する一次資料の調査(文献調査)やアクター(政策担当者、社会活動家、研究者)に対するインタビュー調査を行ないたいと考えている。
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