フランスでは2015年に家族手当に所得要件を追加した。これは、すべての子どもを対象とする普遍主義を維持する一方で、高所得層には給付額を削減する改革であった。なぜ普遍主義を維持したまま給付を削減する対応を行ったのだろうか。本研究では、この対応を「適応除外の政治」と名付け、2010年代に特徴的な対応であることを明らかにした。 オランド大統領は普遍主義を維持しながら高所得層へ対処すると発言していた。家族の利益を代表する全国家族協会連合は反対していた。しかし、予算削減への圧力が強い一方で、貧困率の上昇は一定程度に抑えられていたため、反対にもかかわらず「適用除外の政治」が行われたことを明らかにした。
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