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2019 年度 実施状況報告書

モロッコ王制を支える選挙と議会に関する実証的研究

研究課題

研究課題/領域番号 19K13595
研究機関愛知県立大学

研究代表者

白谷 望  愛知県立大学, 外国語学部, 講師 (40780119)

研究期間 (年度) 2020-02-01 – 2023-03-31
キーワードモロッコ / 君主制 / 議会 / 選挙 / 権威主義体制
研究実績の概要

本研究の目的は、権威主義的な君主制の選挙と議会の機能に注目して、「如何なるメカニズムでモロッコの君主制が安定性を維持しているのか」という問いを考察することである。
モロッコは、アラブ諸国で最も早く複数政党制を導入した国のひとつであり、選挙毎に約20の政党が議席を獲得する分極的多党制である。これまでの研究で、モロッコ王制が安定を維持する方策として、統治者による諸政治勢力の分断統治と「名目的な」政権交代(状況に応じた与党と野党の組み替え)に注目してきた。これらが行われるには、政治領域が細かく分断され、多くの政治勢力がそこで活動していることが前提となる。しかし、分断された政治領域がどのように形成されたのかという点に関しては、課題として残されている。本研究では、モロッコ政治の特徴である分断された政治領域を、伝統的な社会の多元性との歴史的連続性から検証する。
2019年度は、研究計画の最初の課題として掲げた「社会の潜在的多元性の顕在化に関する分析(保護領期)」に取り組んだ。当該年度の19年4月から20年1月まで育児休暇を取得していたため、実際に研究を遂行した期間は2か月間と短いが、モロッコにおける歴史的な多元性・社会的亀裂を把握するため、アラビア語史料を中心に、国王と諸地域の住民が結んだ忠誠の誓い(バイアの儀礼)の内容を確認し、その歴史的変遷を分析した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

2019年度は、19年4月から20年1月まで育児休暇を取得していたため、実際に研究を遂行した期間が2か月間と短いものの、年度の初めに計画した課題をおおむね順調に進めることが出来た。

今後の研究の推進方策

2020年度は、当初の計画で予定していた19年度の研究課題を引き続き実施する。具体的には、課題(1)「社会の潜在的多元性の顕在化に関する分析(保護領期)」として、以下の問いに取り組む。①保護領期のモロッコ社会には、どのような多元性・亀裂が存在していたのか。②フランス保護領政府は、それらの亀裂をどのように利用したのか。
モロッコは歴史的に地方の自立性が高く、王権が地方まで及ばず土着化しない、言い換えれば、地方の末端まで行き渡る行政システムが生まれにくい土壌であった。しかし、19世紀から20世紀初頭には西欧列強の影響下に置かれ、モロッコ各地で伝統文化・価値への回帰という現象が広まった。こうした現象が、モロッコの政治文化の特徴である「分断された政治領域」の基礎を作り出したのでないか。こうした理解から、フランス保護領期を社会的多元性が顕在化する時期として設定し、その実態を分析する。

次年度使用額が生じた理由

新型コロナウイルスの影響で、3月に予定していた海外調査が中止となったため。同調査は、2020年度に改めて実施する予定である。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2020

すべて 図書 (1件)

  • [図書] 新 世界の社会福祉 第11巻アフリカ/中東2020

    • 著者名/発表者名
      編者:牧野久美子・岩崎えり奈
    • 総ページ数
      471
    • 出版者
      旬報社
    • ISBN
      978-4-8451-1598-3

URL: 

公開日: 2021-01-27  

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