研究課題/領域番号 |
19K13602
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研究機関 | 明治大学 |
研究代表者 |
木寺 元 明治大学, 政治経済学部, 専任教授 (10433418)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 官僚制 / 不人気政策 |
研究実績の概要 |
「研究実施計画」等に基づけば、2021年度は、2019・20年度に実施した政治家や官僚へのインタビューを踏まえ研究の総まとめを試みる予定 であった。しかし、折しものコロナ禍は、調査対象者へのインタビューを困難にした。特に予定していたインタビュー対象者の多くが、高リスクとされる高齢者 であったこと、リモートでのインタビューを実施できるネット・通信環境になかったことなどが大きく影響した。 そこで、2021年度は20年度と同様に当初の方針を大きく変更し、不人気政策に関する書籍や雑誌を中心とする資料調査にシフトした。また、税制改革のコンテクストとして「の新自由主義に焦点を当てた研究を進め た。この成果の一部は、関東社会学会の2021年度研究大会において、「日本の行政学は「新自由主義」をどのように捉えてきたのか」として報告した。ともすれば、政治学においては新自由主義は政府の規模の縮小という側面ばかり強調されてしまうが、社会学者によって構成されるこの学会での報告の機会により、隣接諸科学分野における新自由主義への「責任の個人化」など異なった視覚での定義づけや視座を得ることができ、税制改革を含む不人気政策に携わった官僚や政治家の「責任」観など、今後のインタビューを行う際にというべき軸というものを確立することができた。この成果は、2022年度の関東社会学会の年報に、雑誌論文としてとりまとめられ、公刊された。 このように、さまざまな制約がある中で、できることをできる範囲で行い、次年度につなげられる研究実績を積むことができたものと考えられる。
木寺元(2022)「日本の行政学は「新自由主義」をどのように捉えてきたのか」『年報社会学論集』(関東社会学会編集委員会事務局 編 )(35) 32-37
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
【研究実績の概要】にも書いたように、新型コロナ感染症は、高齢者へのインタビューを主に考えていた研究計画を大きく妨げた。一方で、文献調査は継続しており、感染症の流行が落ち着き、インタビューが可能になればすぐにでも再開できる用意がある。また、オンラインでのインタビューにも対応できる対象者が現れたときにのために、充実したリモートでのインタビューが可能な設備等も整えている。その上で、2023年度はインタビューに答えていただける対象者とアポイントをとり、具体的に進めていく予定である。
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今後の研究の推進方策 |
当初予定していた対面でのインタビューの再会は、ワクチン接種率の上昇など新型コロナウィルスの感染状況に依存する。なかなか難しい面もあったが、感染対策の充実に伴い、再開を検討していきたい。また、税制に拘った場合にどうしても対象者が限定されてしまうので、「不人気政策」という面に着目すれば、少し異なった政策領域で当初の目標を達成することも考えている。当初の研究の目的が少しでも達成できるよう、実現可能な道筋を見出していきたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナ感染症対策のため対面インタビューが実施できず、またそれに基づく十分な研究成果も得られず、研究計画に大幅な支障が生じた。感染状況が落ち着き、ただちにインタビューを実施し、それに基づく研究報告等を行うようにするため、2021年度に予定していた計画を22、23年度に繰り越すものである。
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