本研究課題の期間中、14件の学術論文、21件の学会発表、1件の書籍を発表しており、これらの研究成果の多くは本研究課題の関心事である「情報と選択/情報と選好」に関わるものである。 たとえば、「え!そっちに入れるんですか?―伸縮する政策空間における有権者の投票行動モデリング―」では有権者の争点空間認知における歪みをモデリングすることで、争点投票モデルの統合を試みた。 また、政治的情報の中で近年関心が高まっていることとして偽情報(フェイクニュース)があるが、「Fake News and its Electoral Consequences: A Survey Experiment on Mexico」を通じて、フェイクニュースの接触とその是正が投票後悔に繋がることを明らかにした。 これまで発表してきた研究実績の大多数は情報の内容と有権者の選好・選択に関する研究であり、「Does the “NIMBY syndrome” Undermine Public Support for Nuclear Power in Japan?」は多くの被引用を、「From Plastic to Peace: Overcoming Public Antipathy through Environmental Cooperation」はトップジャーナルに掲載されている。 これらの研究成果のほとんどはサーベイ実験と呼ばれる因果推論の研究デザインに基づいており、「オンライン・サーベイ実験の方法」の「理論編」と「実践編」では政治学におけるサーベイ実験手法のレビューの実践的ガイドラインを提示している。
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