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2022 年度 実施状況報告書

全国紙の論調は極性化しているかー計量テキスト分析によるアプローチ

研究課題

研究課題/領域番号 19K13607
研究機関早稲田大学

研究代表者

細貝 亮  早稲田大学, 政治経済学術院, 客員准教授 (30582259)

研究期間 (年度) 2019-04-01 – 2024-03-31
キーワード分極化 / メディアの選択性 / テキスト分析
研究実績の概要

新型コロナウイルス拡大によってデータ収集が当初予定より大幅に遅れた。そのためやや研究計画の方向性を修正し、当初予定のテキスト分析に加えて、世論調査を利用した有権者側のメディア接触と政治的態度の分極化の関係性の関する研究に着手した。当該研究については進展があった。世論調査の分析から有権者がインターネットから自身の政治的態度に合致する情報を比較的多く受け取っていることが判明し、インターネットの普及が政治の分極化をもたらすメカニズムについて一定の証拠が得られた。ただし同時に、現代においても政治情報の主要な情報源はテレビや新聞でありインターネットのプレゼンスは相対的には小さいこと、政治態度の分極化が大きいのはむしろ高齢の有権者であることも明らかになった。これらの研究成果を2回、国内学会で発表する機会を得た。
また今年度途中からデータ収集状況も改善しため、事前の計画にしたがって、テキスト分析によるメディアの分極化の検証も再開した。データの収集が進んだ「原発再稼働」と「共謀罪/テロ等準備法案」の記事の分極化度を、機械学習のひとつであるランダムフォレストによって推定したところ、当初の予測通り朝日新聞と産経新聞の間の分極度が最も大きくなり、読売新聞と日経新聞はその中間にあることが確認できた。ただし利用する機械学習の種類やハイパーパラメータのチューニングによって、得られる数値の変動がかなり大きいことも判明し、再現性のある分析結果のためにはさらなる改良が必要である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

新型コロナウイルス感染拡大による施設の利用制限等からデータの収集が大幅に遅れていたが、今年度から徐々に改善したことで、当初予定に沿って研究を再開することができた。データ量は予定よりも少ないが、現在手元にあるデータを使った予備分析では、概ね期待通りの結果を得られた。ただし、テキスト分析を実施する際の機械学習手法については改善の余地があることも判明した。
仮に新型コロナウイルスの感染が再拡大した場合、データ収集が困難になる可能性があるが、その場合は、現在手元にあるデータのみで最終報告をせざるを得ないと考えている。

今後の研究の推進方策

今後の研究の方向性には大きく2点ある。まずは世論調査を利用したメディアの分極化に関する研究を進める。この研究自体は、当初予定にはなかったアプローチであるが、今年度上述の通りある程度まとまった成果を発表できた。またその結果としてさらなる研究の端緒を得たため、継続して研究に取り組む予定である。具体的には、世論調査で得られるメディア接触と保革イデオロギー態度の関係性から、メディアの分極化度を間接的に測定し、その時系列変化を検証したいと考えている。
第二に、新聞記事の分極化度をテキストの特性から測定する研究については、記事の収集と整理を可能な限り進めたい。同時に、テキスト分析で利用する機械学習手法についてもさらなる改良を進め、再現性の高いテキスト解析の条件についても方向性を示せるようにしたい。
いずれの研究も、ある程度知見がまとまとまったところで、学会あるいは研究会で発表、フィードバックを得た後、学術雑誌への投稿を考えている。

次年度使用額が生じた理由

コロナ禍による大学施設の制限等あり、当初アルバイトに委託する予定だったデータ収集を本人(自身)が行ったため人件費を計上しなかった。また参加予定の学会が一部オンライン開催だったため旅費・宿泊費等を使用しなかった。
次年度は当初予定にあったアルバイト雇用の他、インターネットを利用した世論調査にも一部を充当予定である。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2022

すべて 学会発表 (2件)

  • [学会発表] オンライン/オフラインメディアの選択性2022

    • 著者名/発表者名
      細貝亮
    • 学会等名
      日本政治学会分野別研究会「近代現代日本政治研究フォーラム」
  • [学会発表] 日本における感情的分極化-その変化と規定要因-2022

    • 著者名/発表者名
      細貝亮
    • 学会等名
      日本選挙学会

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公開日: 2023-12-25  

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