研究課題/領域番号 |
19K13615
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研究機関 | 関西学院大学 |
研究代表者 |
大村 華子 関西学院大学, 総合政策学部, 教授 (90612383)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 所得格差 / 経済業績評価 / 業績評価 / 経済投票 / 時事通信社 / 内閣支持率 / マクロ党派性 / 消費者信頼感指数 |
研究実績の概要 |
本年度は、所得格差の問題の基盤となる有権者の経済投票、経済業績評価についての分析として、時事通信社が公表しているデータ(以下、時事データ)を用いた分析を複数実施した。一つ目の研究では、時事データにおける経済質問が、他国及び日本の内閣府によって公表されている消費者信頼感指数(consumer confidence index)と親和性が高いことに注目し、経済質問をもとにしたCCIを提案した。そしてその論文を、Economics Bulletin誌に掲載した。 二つ目の研究では、上記のCCI指標も用いて、日本において内閣支持率、与党支持率、CCI、日経平均株価の因果配列がどのようになっているのかを、ベクトル自己回帰=線形非ガウス性有向モデル(Vector Autoregressive Linear Non-Gaussian Acyclic Model: VAR-LiNGAM)によって推定した。その論文を、Applied Economics Letters誌に掲載した。 三つ目の研究では、マクロ・レヴェルでの政党支持を表す概念である「マクロ党派性」について、多国間比較による新しい指標化を提案した。その論文を、Political Behavior誌に掲載した。 上記の基盤的研究をもとに、3月に所得再分配に関して望ましい状況を、コンジョイント分析によって特定するためのサーヴェイを2件実施した。その結果を、海外査読誌に投稿するために、現在論文を執筆中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
基盤的研究に位置付けたマクロ・レヴェルでの分析に、多くの労力を割いたことにより、所得再分配に関するミクロ・レヴェルでの実験研究に十分に取り組むことができていない。現時点で、2回の実験を含むサーヴェイを完了しているが、さらに本調査となるものを実施する必要がある。
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今後の研究の推進方策 |
最終年度である本年度に、2回実施した実験の結果をもとに執筆中の論文を海外査読誌に投稿する。併せて、マクロ・レヴェルでの分析はおおむね順調に進めることができたので、その成果と今後のミクロ・レヴェルでの分析結果を合わせて、次年度以降は著書を出版することを予定している。そのために布石となる研究に、本年度は注力する。
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次年度使用額が生じた理由 |
昨年度は、新型コロナウィルス感染症の拡大があり、勤務校での作業が多かったことから、十分にサーヴェイ実験のための計画を検討することができなかった。結果として、本調査を実施するには至らず、それに伴って次年度使用額が生じることになった。本年度は、次年度使用額分を利用して本調査を実施し、そのデータをもとにさらに英語での査読誌投稿論文の執筆を進める。
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