研究課題/領域番号 |
19K13621
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研究機関 | 埼玉大学 |
研究代表者 |
冨田 晃正 埼玉大学, 人文社会科学研究科, 准教授 (30781679)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | グローバルゼーション / 移民 / 労働組合 / 通商政策 |
研究実績の概要 |
本研究では、移民大国アメリカの政策決定に関して、主に二つの視点から分析を実施する。一つ目の視点としては、多様な分析アクターを内包することである。具体的には、先進国の中でも古くから移民の受け入れを行ってきた移民大国であるアメリカに着目し、アメリカの移民政策において重要な役割を果たす企業や労働組合といった経済的な事項に関心を有する社会集団に加えて、民族団体やキリスト教系の団体といった社会的な関心を持つ集団の移民政策形成への影響に関して検証を行うことを目的としている。 二つ目の視点としては、安全保障政策や通商政策のような移民政策以外のイシューが移民政策の形成過程に及ぼす影響に関して考察するといった、イシュー横断的な分析枠組みの実施である。 本研究では、こうした多様な分析アクターの導入、そしてイシュー横断的な分析の実施といった観点から、なぜアメリカの移民政策は閉鎖的な方向へと向かっているのか?といった問いに複合的な観点からアプローチすることを試みている。移民大国アメリカの変容は、単にアメリカのみの問題でなく、広く世界全体に影響の大きい重要なテーマである。また、こうした問いに答えることは、現代世界が直面する移民問題をはじめとするグローバル化の来歴を説明することになる。これが国際政治経済学研究としての本研究の根幹を成す目的である。 現在までの検証の結果、企業や労働組合といった経済的アクターの移民政策における影響力の低下に対して、民族アクターや安全保障関連の集団といった非経済的アクターの影響力の伸長が見られることが、アメリカ移民政策の閉鎖性の強まりの背後にあることが分かっている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本年度は、昨年までに収集した紙媒体の資料をもとに、アメリカに出向いてのインタビュー調査の実施を、中心的な作業として想定していたが、昨年度に続きコロナにより渡米は叶わなかった。代わりに国内で収集可能な資料を集めることは行ったが、限界を感じたことは否定できない。それゆえに、現在までの進捗状況は、「やや遅れている」にしている。
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今後の研究の推進方策 |
本研究は、グローバル化の進展によりアメリカの移民政策が変化している様子を、イシュー横断的なアプローチを通して明らかにすることで、包括的なグローバル化研究の実現を目指している。そのためには、研究期間を1年延長した4年目は、2年目、3年目に実現できなかったアメリカへの現地調査を是非とも実現させたいと考えている。海外調査が可能になれば、インタビュー調査に加えて、移民関係の資料が充実しているジョージタウン大学の国際移民研究所などにも出向き、資料調査も実施したいと考えている。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナにより研究計画に変更が生じたため、次年度使用額が生じた。
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