研究課題
若手研究
本研究はネパール内戦を事例に、紛争国の中央政府が国の内外において統治の正当性を失ったと認識された場合、どのような主体間の連携によって国内安全保障秩序が再建されるかを、反政府勢力などの非国家主体も含めて分析することを目的とした。本研究の成果は、クーデターなどによる中央政府の正当性の低下が、紛争国の安全保障を目的とした中央政府と国内外の主体(国内政党勢力や諸外国)の協働関係の解消のみならず、反政府勢力も含めた協働関係の再編につながることを実証的に明らかにした点にある。
国際政治学
本研究成果の学術的意義は、政府による暴力の独占が果たされていない紛争国においては、国内安全保障のための多様な主体による協働体制の安定には、中央政府の正当性の維持が前提となっていることを明らかにした点である。また、その前提が崩れて中央政府の権威が不安定化し、代替的な権威の形成が行われる過程では、反政府勢力も含めた国内外の主体間で、利益や理念を媒介にした複雑な調整と連携が行われることを実証的に明らかにした。