本研究の成果は、米海兵隊の沖縄移駐をめぐる1950年代の米国政府の政策決定過程を、一次史料に基づいて明らかにしたことにある。従来、海兵隊の沖縄移駐の「決定」については、1950年代半ばの国際情勢を踏まえた、米国政府の軍事戦略の観点から説明されることが多かった。これに対して本研究では、軍事戦略の観点に加えて、日本国内の政治情勢に対する米国政府の認識の変化にも着目しながら、米海兵隊の沖縄移駐の決定過程について考察した。 研究の成果として本研究は、日本の防衛力増強問題や在日米軍撤退問題と関連付けながら、米国政府が海兵隊の沖縄移駐を決定していたことを明らかにした。海兵隊の沖縄への移駐は、日本への政治的配慮を動機とした、在日米陸上兵力撤退の布石として決定されていたのである。本研究は、これらの成果を学術論文1件として公表した。
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