研究課題/領域番号 |
19K13637
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研究機関 | 同志社大学 |
研究代表者 |
西 直美 同志社大学, 研究開発推進機構, 共同研究員 (50822889)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | イスラーム / サラフィー主義 / 伝統 / ナショナリズム / ビドア |
研究実績の概要 |
2021年度は、当初は、成果の取りまとめと発表に加えて、フォローアップで調査を実施する予定であった。2020年度に続いて、新型コロナウイルス感染症の影響により、2021年に実施が予定されていた国際学会が数度にわたって延期された。結果として2021年度は、成果のとりまとめを集中的に行うとともに、オンラインでイスラーム教育関係者に対するフォローアップのインタビューを実施した。 先行研究では、字義的な解釈と教義の純化という傾向を伴うサラフィー主義は、都市中間層にみられる現象とされてきた。しかし1990年代以降、タイ南部国境地域の村落社会にも影響を与えるようになっている。これまでの調査の結果、2004年以降のタイ政府と反政府武装組織との抗争の激化と軌を一にするようにして、サラフィー主義者と伝統的な解釈を重視する人びととの間での対立が顕著になっていたことが明らかになった。 サラフィー主義者は、伝統社会に残るイスラーム的ではない要素を排除することを主要な目的としている。追加調査の際に注目したのが、サラフィー主義の教義解釈を論じる際にとりわけ問題とされてきた「ビドア(イスラームからの逸脱)」という概念である。2021年度の調査では、村落部におけるビドアをめぐる解釈を通して、紛争の激化から15年以上を経た現時点における社会の現状と変化について検討することを目的として実施した。本研究が明らかにしようとしてきた、イスラーム主義、ナショナリズムと、脱過激化に関する論点について考察を深めるとともに、最終年度の発表に向けた準備を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
発表を予定していた学会で報告ができず、タイの現地調査をオンラインに、マレーシアでの現地調査を文献に切り替えて行ったものの、成果のとりまとめについてはおおむね順調に進めることができた。
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今後の研究の推進方策 |
延長が認められたため、最終年度で行う予定であった成果の発表を2022年度にまとめて行う予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルス感染症により、現地調査を実施することができなかったため、旅費の支出がなかったことによる。規制が緩和されることを見越して、最終年度にフォローアップで調査を実施する予定である。
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