研究課題/領域番号 |
19K13643
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
數村 友也 京都大学, 経済学研究科, 講師 (50804960)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | マッチング / メカニズムデザイン / 耐戦略性 / 安定性 |
研究実績の概要 |
本研究では達成すべきマッチングに関して制約があるようなマッチング問題を扱う.例えば医師臨床研修マッチングでは,研修医の都市部への集中を回避,離島や地方に研修医を配置することが望まれる.本研究は耐戦略性と安定性を満たしつつ,そのような制約を可能な限り満たすマッチングメカニズムの設計を目指す. 昨年度に引き続き,一対一マッチングに焦点を当てて分析を行ってきた.このモデルにおいて,耐戦略性と安定性を満たし,制約の観点からもある程度望ましいマッチングメカニズムの設計は過去に行っている.昨年度は,現在得ているメカニズムよりも望ましいメカニズムが存在することを研修医3人,病院3つのケースでは明らかにした.今年度はそれを一般化し,耐戦略性と安定性を満たすメカニズムの中で,制約の観点から最も望ましいメカニズムを設計を目標とした.しかし,分析は必ずしも容易ではなく,いくつかの小さな発見はあったものの,メカニズムの設計には至らなかった. 一方,本研究課題で扱うモデルは金銭移転を伴うマッチングであり,オークション問題と密接な関係がある.オークションモデルにおいては一定の結果を得ることができた.具体的には,パッケージオークションモデルにおいて,効率性と耐戦略性を満たすメカニズムに注目し,どのような環境でそのようなメカニズムが設計できるのかを検討した.結果として,人々の選好が準線形に非常に近い形でなければ効率的かつ耐戦略的なメカニズムは存在しないことを示した.この結果をディスカッションペーパー「When can we design efficient and strategy-proof rules in package assignment problems?」として公表した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
今年度は一対一マッチングにおいて,耐戦略性と安定性を満たし,かつ制約の観点から最適なメカニズムの設計を試みた.しかし分析が非常に複雑であることが判明し,メカニズムの設計まで至ることができなかった.関連した分析としてオークションモデルでは一定の結果を得たものの,分析は予定よりも遅れていると言わざるを得ない.
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今後の研究の推進方策 |
引き続き一対一マッチングにおいて望ましいメカニズムの設計を行う.また,現在までに得たメカニズムをより一般の多対一マッチングへの拡張を行う.
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルスの流行により,予定していた出張等がキャンセルとなったため.主に出張費用に充てる予定である.
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