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2019 年度 実施状況報告書

大人数による多数決の効率性に対する批判的検討

研究課題

研究課題/領域番号 19K13644
研究機関北星学園大学

研究代表者

多鹿 智哉  北星学園大学, 経済学部, 講師 (70801562)

研究期間 (年度) 2019-04-01 – 2021-03-31
キーワード陪審定理 / チープトーク / 内生的バイアス
研究実績の概要

本年度は研究課題である「ひっかけ問題」を含む大人数の多数決について、研究協力者である神戸学院大学の永岡成人氏と共同で次のことを明らかにした。(1)多数決を行う前にその問題が「ひっかけ問題」であるかどうかについて複数の専門家が自由にコミュニケーションを行うことができるようにモデルを拡張した。(2) 拡張されたモデルにおいて、多数決においては投票者たちに内生的なバイアスが発生し、それが専門家とのコミュニケーションを困難にし、結果として専門家たちが持つ情報が投票者に一切伝わらなくなることを示した。(3)専門家たちに自由にコミュニケーションを行わせるのではなく、彼らの意見を集約し、ひっかけ問題かどうかという点で専門家としての意見を統一するというコミットメントを行うことができれば専門家たちの情報は伝わり、結果として多数決の決定精度も改善することを示した。
この結果は、これは科学的リテラシーが必要になるような「ひっかけ問題」の可能性を含む問題を多数決によって集団意思決定を行う際に専門家たちがどのように意見を表明するべきかという問題に対して、次の含意を持つ。(1)専門家の意見表明はバラバラに行うべきではない。(2)専門家としての統一したメッセージを表明すべきである。これは専門家による科学コミュニケーションを一般聴衆に対してどう行うべきかという低減にもなるという点で重要であると考えられる。
さらに今までの研究成果を国内外の学会やワークショップで報告し意見交換を行った。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

研究目的にある、陪審定理が成立しない環境において、その問題を改善するための方法として、専門家たちの意見表明を事前に行い、そこでの意見を統一するというものを提示した。その意味で目的にある最適な投票精度の構築を達成している。

今後の研究の推進方策

今後の研究方針として、研究目的にあるように、この研究がどのような現実問題に対応するかを継続的に調べ、提唱した解決策が現実に取られているか、あるいは取られない理由はなぜなのかを調査する。
また、この研究成果の報告を継続的に行い、他の研究者との意見交換をおこない、国際専門学術誌に投稿することが挙げられる。

次年度使用額が生じた理由

所属機関の変更により講義準備に必要な時間が増え、出席を考えていた国際学会への参加を取りやめたため。次年度は講義準備にかかる時間を調整し、国際学会への参加をできるだけ増やすことでその分の費用を使用する。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2021 2019

すべて 学会発表 (3件) (うち国際学会 2件)

  • [学会発表] Communication and Information Aggregation for a Trick Question Problem2021

    • 著者名/発表者名
      Tomoya Tajika
    • 学会等名
      The 6th World Congress of the Game Theory Society
    • 国際学会
  • [学会発表] Collective mistake in a tricky question under strategic voting2019

    • 著者名/発表者名
      Tomoya Tajika
    • 学会等名
      72nd European Meeting of the Econometric Society
    • 国際学会
  • [学会発表] Collective mistake in a tricky question under strategic voting2019

    • 著者名/発表者名
      多鹿智哉
    • 学会等名
      日本経済学会

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公開日: 2021-01-27  

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