本研究で分析した破壊的イノベーションとは、既存製品の価値を大きく損なうようなイノベーションを指し、例としては大型規格から小型規格への移行、アナログ規格からデジタル規格への移行などが挙げられる。こうした事例は過去に限定された特殊事例ではなく、これからも連綿と続いていく可能性が高い。自動車産業を例にとると、全固体リチウムイオン電池の普及は電気自動車の性能面での弱点克服につながり、電気動力に特化した新規企業がガソリン動力を中心とした現在の自動車産業を一変させる可能性を秘めている。よって、マクロ経済学的フレームワークで破壊的イノベーションを詳細に分析することは、学術的にも社会的にも価値があるといえる。
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