研究課題/領域番号 |
19K13648
|
研究機関 | 中京大学 |
研究代表者 |
深井 大幹 中京大学, 経済学部, 准教授 (40835112)
|
研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
|
キーワード | レポ市場 / 相対市場 / レポ金利 / 限定コミットメント |
研究実績の概要 |
2020年度までに、証券を担保とした短期金融市場であるレポ市場のモデルを構築し、その中で、売り手の決済フェイル(証券受け渡しの失敗)の誘因と内生的なレポ金利の決定を分析した。2021年度は、そのモデルの拡張の一つとして分析した、売り手が再購入日において、確率的にデフォルトを起こし得るケースについてより詳細に検討した。このケースにおいて、デフォルト確率が上がったときに、売り手の決済フェイルに対してより厳しい罰則を設けることは必ずしも社会的に望ましくないことを示した。このことは、金融危機のように、売り手の決済フェイルとデフォルトが共存し得る状況では、フェイルに対して罰則を設けることが必ずしも望ましくないことを示唆している。また、国際学会で得られたコメントを元に、モデルのインプリケーションの実証的根拠を収集したり、文献を元にしてモデルのカリブレーションを行ったりしている。研究成果は、査読付き国際学会であるEuropean Economic Association - Econometric Society European Summer Meeting 2021(8月)、Western Economic Association International 96th Annual Conference, virtual (6月)などで報告した。2022年度現在、査読付き国際学会である24th INFER Annual Conference 2022(2022年6月)での報告を受理されている。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
金融危機のように、売り手の決済フェイルとデフォルトが共存し得る状況では、フェイルに対して罰則を設けることが必ずしも望ましくないという、現実の政策に示唆のある結果を得ることができた。また、国際学会において、モデルのインプリケーションの実証的根拠やモデルのカリブレーションについていくつかの重要なコメントを得ることができた。研究成果は、査読付き国際学会であるEuropean Economic Association - Econometric Society European Summer Meeting 2021(8月)、Western Economic Association International 96th Annual Conference, virtual (6月)などで報告することができた。当初、国際学会への参加費として申請していた研究費をコロナ禍により執行しなかったが、バーチャルにより国際学会に参加することができたため、研究に遅れは生じていない。
|
今後の研究の推進方策 |
研究成果を取りまとめた論文を現在学術誌に投稿中であるため、学術誌への掲載受理を最優先目標として取り組む予定である。また、現在、金融機関同士の短期金融市場から、より広範な貸借取引を含む分析を行っている。特に、上記で述べた、金融危機の政策分析のカリブレーションと並行して、借入を用いて研究開発に投資を行う企業がいる際の最適な金融政策についての分析を現在行っている。これらのモデルから得られた研究成果を論文として取りまとめることが今後の目標である。
|
次年度使用額が生じた理由 |
コロナ禍により当初国際学会参加費として計上していた、海外出張費を執行しなかった(ただし、国際学会自体はオンライン開催により参加することができたため、研究計画に遅れはない)。次年度使用額は、コロナ禍が終息した際に、国際学会に参加するための海外出張費として執行する予定である。
|