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2019 年度 実施状況報告書

マクロ経済安定化に関する研究:政策介入期間最小化による特徴づけ

研究課題

研究課題/領域番号 19K13650
研究機関大阪府立大学

研究代表者

佐藤 健治  大阪府立大学, 経済学研究科, 准教授 (60634227)

研究期間 (年度) 2019-04-01 – 2023-03-31
キーワード非線形性 / 均衡動学
研究実績の概要

矢野誠氏との共同論文 “Ergodic Chaos for Non-expansive Economic Models" が International Journal of Economic Theory (Vol 15, pp. 311-320) に掲載された。この論文ではあるクラスの均衡動学マクロモデルがエルゴードカオスとなるための条件を与えている。エルゴードカオスと呼ばれる現象は,無視できないほどに広い領域の上を均衡経路が動き回る性質を指する。経済に対する微小な摂動が,均衡経路に対して予測不可能な変化を引き起す。
Yano and Sato (2019) は,比較的弱い条件の下でもカオス的な挙動を示す非線形性が現れることを示したもので,長期のマクロ経済モデル,特に固定費用のかかるイノベーションプロセスが入るような長期モデルでは,安定的な挙動とは整合的ではないことを示唆している。均衡経路は長期の振動的挙動を反映したものになる。このようなモデルに対して政策的なインプットを導入することで,政策変数の小さな変化が大きな挙動の変化を生む可能性があるため,政策介入の効果を評価することが難しくなる。
本研究課題が目標とする「安定性」を追究するために,経済のモデル化の際に避けるべき特徴を明らかにした。政策介入効果を測るという研究目的に鑑みるとやや間接的な結果であると言わざるを得ないが,今後の分析の中で注目すべき対象を絞り込めたという点では示唆的な研究成果だと言える。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

均衡動学モデルの安定性・不安定性に関する重要な結果を刊行できたものの,主題となるスパース性に関してはやや間接的なものであり,直接的な結果が得られていないため。

今後の研究の推進方策

長期モデルの分析については,弱い条件で非線形性が現れる可能性が示唆されているので,短期から中期のモデルに限定して分析を進める。短期のマクロ動学モデルに政策介入を導入し,政策介入の長さを外生変数とするような理論モデルの構築を行う。

次年度使用額が生じた理由

MATLAB のツールボックスの契約内容を精査した結果,当初の想定より低い支出額で済むことが判明した。差額のうちの多くの部分はすでに研究環境を整備するための物品購入費用として使用済みであるが,年度末に出張ができなくなるなどの社会情勢等の変化により残額が生じた。繰越額は2020年度の図書購入費用として充当する予定である。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2019

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件)

  • [雑誌論文] Ergodic chaos for non‐expansive economic models2019

    • 著者名/発表者名
      Makoto Yano and Kenji Sato
    • 雑誌名

      International Journal of Economic Theory

      巻: 15 ページ: 311-320

    • DOI

      10.1111/ijet.12232

    • 査読あり

URL: 

公開日: 2021-01-27  

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