研究課題/領域番号 |
19K13661
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研究機関 | 桃山学院大学 |
研究代表者 |
西崎 勝彦 桃山学院大学, 経済学部, 准教授 (20722953)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | メカニズム・デザイン / 社会的選択 / 投票 / 耐戦略性 / 限定合理性 |
研究実績の概要 |
新型コロナウイルス感染症の蔓延などにより,当初の計画通りの成果は得られなかったが,副次的な成果として協力行動に関する調査論文とセキュア遂行に関する理論論文を公表した. Saijo, Sjostrom, and Yamato (2007) は,全てのプレーヤーが限定合理的であったとしても,望ましい結果を達成する(セキュア遂行する)メカニズムの重要性を指摘したが,そういったメカニズムの設計は理論的に困難であることがその後の研究で知られている.そこで,本研究では限定合理的なプレーヤーの人数をk人以下と想定し,その他のプレーヤーは合理的であると仮定して,目標とする結果を達成する(k-セキュア遂行する)メカニズムの設計可能性を分析することに取り組む(実験研究でも全てのプレーヤーが限定合理的であることは観察されていない).本研究では特に投票方式に焦点を当て,どのような環境(限定合理的なプレーヤーの人数の上限と選好条件)において,いかなる投票方式が望ましい結果を達成することができるのか(k-セキュア遂行できるのか)明らかにする ことに取り組む. 本研究の第2段階として,2020年度はk-セキュア遂行のための必要十分条件によって中位投票者方式の特徴づけを試みつつ,これまでの研究成果を国内外の学会などで報告して研究を推進することに取り組んだが,新型コロナウイルス感染症の蔓延などによって研究・報告の機会を確保することが困難となり,当初の計画通りの成果は得られなかった.他方で,副次的な成果として協力行動に関する調査論文とセキュア遂行に関する理論論文を公表した.調査論文では公共財の供給問題を取り上げ,心理的要因が少なからず限定合理的な意思決定に影響を与え得ることが示唆された.理論論文では規模に関して収穫一定な生産経済を取り上げ,その経済におけるセキュア遂行可能性と連立耐戦略性との関係が明らかになった.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
新型コロナウイルス感染症の蔓延などにより,当初の計画通りの成果が得られなかったため.
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今後の研究の推進方策 |
新型コロナウイルス感染症について理解も深まり,それに対応した研究環境も整ったことから,2020年度以降の研究計画を2021年度以降に順延し,計画通りの成果が得られるように努める.ただし,報告については,研究成果の公表はもとより,それを契機に他の研究者と交流を深めて研究の新たな方向性を見出すことを試みる側面もあることから,新型コロナウイルス感染症による影響を踏まえ,状況によっては報告は次年度以降に先送りすることも検討する.
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルス感染症の世界的蔓延によって予定していた学会が通常開催されなかったことと,英文校正を予定していた論文に大幅な改訂の余地が存在するために校正依頼を次年度以降に見送ったことによる.次年度に見送っている英文校正を依頼する予定であるが,学会出張については,新型コロナウイルス感染症による影響によっては,さらに翌年度に見送ることも視野に入れている(これを受けて,当初次年度に使用を予定していた旅費も,さらに翌年度に繰り越すことを視野に入れている).その他は当初の計画通り使用する予定である.
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