研究課題
本研究では、高次元高頻度金融データからその相関構造を統計推測するための手法について研究した。初年度および次年度は、金融資産間のネットワーク構造を推定する際に有用な精度行列に対する統計推測法の理論的整備、および実データ解析への応用を行なった。推定された精度行列を用いてネットワーク構造を推定するには、精度行列の有意な成分を検出する必要があるが、これは高次元の多重検定問題となり、古典的なfamily-wise error rate (FWER)に基づく方法を用いると結果が保守的になりすぎる傾向があることがわかった。そこで、3年目および4年目の研究では、FWERよりも弱い基準であるfalse discovery rate (FDR)に基づく多重検定法の高次元高頻度データへの適用を理論的に正当化するための研究を行なった。具体的には、非線形な統計量に対する正規近似の相対誤差についてCramer型の評価を導出する方法について研究した。最終年度である今年度は、高次元高頻度データにおける潜在的なファクター構造の推定方法について研究した。上述した精度行列の推定においては、真の精度行列のスパース性を課す必要があるが、データにファクター構造がある場合はこの仮定が満たされないため、あらかじめファクター構造を取り除いてから推定を行う。これまではファクターは既知かつ観測可能として推定を行なっていたが、未知である場合にその構造をどう推定すべきかということについて本年度は研究を行なった。本年度の研究では、考慮すべきファクターの数をデータから推定する方法の提案、およびその理論的正当化を行なった。
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すべて 雑誌論文 (3件) (うち国際共著 3件、 査読あり 3件、 オープンアクセス 3件) 学会発表 (6件) (うち国際学会 3件、 招待講演 2件)
Annales de l'Institut Henri Poincare, Probabilites et Statistiques
巻: 印刷中 ページ: -
The Annals of Applied Probability
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