研究実績の概要 |
本研究は被災地でのより公平な資源配分を目指すために、個人は公平な配分を行うか否か(利他的か否か)、また、被災の程度に応じて利他的に振る舞うか否か、属性による違いがあるか等を明らかにすることを目的としている。そのために、被災者の選好を測るためのフィールド実験の設計・実施を行い、かつ過去に行った調査データとも関連付けながら検証を行おうとするものである。 まず初年度に実施した内容は、下記の3つである。第一に、先行研究のサーベイ、調査票の設計および分析モデルの構築の検討を実施した。調査票には、最後通牒ゲームや独裁者ゲームを組み込み、また、実験実施の手順等をまとめたマニュアルの作成も行った。実験の設計には研究協力者の助言を得た。第二に、ベースラインで用いる調査データの分析を精緻化し、国際誌に投稿した。第三に、日本老年学的評価研究(Japan Gerontological Evaluation Study:JAGES)が実施する2019年度実施の郵送調査(フィールド実験実施予定の自治体に在住する住民を対象に実施)に、Ashraf, N., Karlan, D., & Yin, W. (2006)で用いられた時間選好の質問等を追加した。これは、ベースラインに用いるデータではサンプル数が少なかったため、その説明を補強するために行ったことである。
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