研究課題/領域番号 |
19K13677
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研究機関 | 一橋大学 |
研究代表者 |
増田 一八 一橋大学, 経済研究所, 講師 (70778357)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 教育 / 発展途上国 / 感染症 / 投票行動 |
研究実績の概要 |
個々人が長く教育を受け人的資本が形成されると、その個人の生産性が高まることにより、労働市場で得る賃金が向上する。そして、その結果、1. 個人が生涯に得る収入・所得が増えることが期待される。加えて、基礎的な教育を受けることは、2. 個人が情報を効率的に収集し、適切に処理する能力を高めることから、その個人が限られた資源を効率的に分配する能力を高める。そして、主にこれらの経路を通じて、個人が長く学校に通うと、その個人の健康状態を改善させる可能性がミクロ経済学の分野の理論により指摘されている。 しかし、先進国で実施された先行研究の結果は対立しており、上記の理論的予測の妥当性についてはまだ合意を得ていない。また、戸籍制度や国民皆保険制度さえ普及していない発展途上国においては、そもそも実証研究の蓄積が不十分であり、その妥当性についてはまだまだ明らかにされていない。 そのような背景において、本研究の目的は、戦後日本や現代の途上国で施行された教育制度の改革に焦点を当てることで、「個人に対する教育の普及が、その個人の厚生や社会にもたらす長期的な影響」を探索することである。 本研究に関して、令和元年度は、下記の実績を上げた。 1.日本に関する研究に用いる個票データの利用申請を進め完了した 2.アジア(インドネシア)・アフリカ(ウガンダ)で行われた教育政策を自然実験として用いた研究の成果を論文としてまとめ、査読付き国際学術誌にそれら2報の論文を掲載した
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究実績の概要の通り、アフリカやアジアに関する研究について、研究を進め、その一部を論文としてまとめている。また、日本に関する研究についても、初年度にデータの入手・整備が順調に進行したため。
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今後の研究の推進方策 |
令和2年度は、日本に関する研究について引き続きデータの利用申請を行うとともに、収集したデータの加工を進め、そのデータを用いて分析を進める。 より具体的には、労働力調査や国民生活基礎調査等の政府統計データの利用申請を進める。 また、インドネシアに関する研究についても、新たにデータの利用申請を行い、初年度に進めた研究をさらに発展させていく方針である。
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