研究課題/領域番号 |
19K13680
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研究機関 | 岐阜大学 |
研究代表者 |
原田 峻平 岐阜大学, 教育学部, 助教 (70735224)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | PFI事業 / 入札 / 競争性 / 入札参加事業者数 |
研究実績の概要 |
PFI(Private Finance Initiative)事業の入札の競争性に関して、この研究では以下の2段階での実証研究を予定している。まず、第1段階で入札参加事業者の意思決定モデルを構築し、計量経済学の手法を用いて入札参加事業者数の理論値を求める。第2段階では、第1段階で求めた入札参加事業者数の理論値を潜在的競争者数と捉え、それと入札結果(落札価格や非価格要素の得点率)との関係を明らかにする。 今年度に実施した研究では、主に第1段階に取り組んでいる。まず、PFI年鑑から、1999年のPFI法制定以降の全てのPFI事業として実施された案件を網羅したデータを入手した。さらに、各実施事業の入札の結果は一元的にまとまったものがないため、個別に実施主体の公表資料を入手し、データベース化した。このデータベースには、実際の入札参加事業者数や入札に参加した事業者の名前、事業期間、契約金額、事業主体、落札価格、非価格要素の得点率などが含まれている。 現在は、このデータベースを用いて、第1段階の入札参加事業者の意思決定モデルの構築を進めているところである。これまでのところ、変数選択のために分散分析を行って各変数と入札参加事業者数の関係を検証し、入札が行われた時期の景気動向や発注者のPFI事業活用度、契約金額などが入札参加事業者数に有意に影響を与えているという結果が得られている。一方で、事業期間や同時期のPFI事業の入札実施件数などで有意な結果が得られておらず、さらなる検討が必要である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本来であれば、初年度にモデルの変数選択を完了している予定だったが、先行研究などを踏まえ、入札参加事業者数に有意に影響すると想定していた変数(事業期間など)で必ずしも有意な結果が得られていないことから、もう少し時間をかけて変数選択を行う必要が生じたため。(自治体担当者へのヒアリング調査などを予定しているが、昨今の情勢から現時点で日程調整が完了していない。)
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今後の研究の推進方策 |
まず、早急にモデルに使用する変数を決定し、第1段階の入札参加事業者数の理論値の導出を完了させる。(予定していた自治体担当者へのヒアリングは、メールやオンラインでの実施を検討する。)その後、入札参加事業者数の理論値と入札結果との関係について、同時方程式モデルで推定する。今年度は最終年度なので、推定で得られた結果を論文としてまとめ、国外の学術誌への投稿など成果公表に進む予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
3月に予定していた東京(一橋大学など訪問予定)と兵庫(神戸大学など訪問予定)への出張が新型コロナウイルス感染拡大の影響で中止となったため、次年度使用額として約7万円が残っている。現在も出張の予定が入れられていないが、新型コロナウイルス感染拡大の影響を見極めながら、延期になった出張を含め研究計画を遂行していく予定である。
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