PFI事業の競争入札の競争性に関する研究では、入札参加事業者数によって落札価格が下がることが分かっている。しかし、近年では入札参加事業者数が減少し、1社入札が増えるなどの問題が指摘されている。そこで、本研究では、その入札参加事業者数がどのように決まるのか、を明らかにするために個別企業の入札参加行動に焦点を当てた研究を行った。 本研究では、PFI事業のうち、公共施設の建設が中心となる事業についての入札データを収集した。そして、これまでにPFI事業を多数受注している大手事業者(いわゆる大手ゼネコン)4社について、各事業への入札参加の有無を被説明変数とするプロビットモデルを構築して回帰分析を行った。 その結果として明らかになったこととして、以下の3点が挙げられる。①受注実績1位企業については、イニシャルコストの大きさや契約期間などが入札参加を決定する要因とはなっていないこと、②受注実績2位、3位の企業においてはイニシャルコストの大きさが入札参加を決定する要因となっていること、③全体として、関東圏で行われる事業のほうが入札参加事業者数が多いこと、である。 以上の結果は、PFI事業で入札の競争性を高めるために必要な施策として以下の2点が考えられることを示唆している。①イニシャルコストの大きさが事業者にとっての魅力につながるため、小規模案件は複数事業の統合(バンドリング)も選択肢となること、②関東圏で行われる事業のほうが大手事業者が積極的に参加していることから、地方では地元企業の参画を促す取り組みが重要であること。 以上のような結果が得られたが、回帰分析における疑似決定係数が0.2~0.5と会社位によってばらつきがあるため、より予測精度の高いモデルについてはさらなる検証が必要であることも分かった。
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