• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2022 年度 実施状況報告書

知識ネットワークのダイナミクスとイノベーションの創発に関する実証分析

研究課題

研究課題/領域番号 19K13688
研究機関名古屋市立大学

研究代表者

山田 恵里  名古屋市立大学, 大学院経済学研究科, 講師 (30706742)

研究期間 (年度) 2021-03-01 – 2025-03-31
キーワードFreight flows / Knowledge similarity / Knowledge spillover / Comparative advantage
研究実績の概要

各国のイノベーションがどのような知識ネットワーク(知識基盤)から創出され,どのような国際的な知識ネットワークを通じて波及しているかを明らかにすることを目的とした。これまでに自動車産業を対象に,自動車メーカーと自動車部品サプライヤの取引構造から知識ネットワークとイノベーションの関係について分析してきた。分析を通じて確立した手法を適用し,各国の輸出財の取引構造から,国際的にどのような知識ネットワークが形成され,どのような国間のつながりがイノベーションと関係しているかについて探索的な分析を行った。分析では,公開されている国の輸出財とその仕向地の構成に関する国際貿易データを用いて,輸出財をもとに輸出の背後にある各国が有する知識がどれほど類似しているかという知識類似性に関する指標を計測した。さらに,国をノード,知識類似性の程度に応じて国間をリンクでつないだ国際的な知識類似性に関するネットワークを可視化した。2000年と2019年のデータを利用することにより,知識類似性ネットワークの変化を捉えることとした。
分析結果より,仕向地別品目数でカウントした輸出件数は2019年の方が全世界的に増加した。輸出件数の多い上位国に中国やインドが挙げられるが,これら地域の輸出件数の増加には仕向地が多様化したことが影響していた。
また,両年ともに近接する国間の知識類似性が大きく,知識類似性に関するネットワークを可視化すると,ネットワーク内では近接する国間の結節が密であり,クラスターを形成していることが示された。この結果は,各国の自然的条件や近接する国間における需要構造の特性を考慮した分析においても同様に見られた。特に,2019年では近接する国間の類似性が大きい傾向が頑健に確認された。つまり,知識波及において地理的な制約があることが示唆された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

今年度は,自動車産業の集積における知識ネットワークに関する分析については,自動車部品サプライヤの工場情報に関するデータベースへデータを追加する作業を進めた。過去のデータを追加し,2期間分のデータベースを整備した。これにより,時系列分析が可能なデータベースが構築された。
海外渡航が可能になったことから,自動車部品の国内調達物流に関する分析は,国際会議で発表する機会を得られ,各国の研究者と対面で意見交換することができた。国際会議で発表した研究成果は,発表で得られた意見を反映させたうえで,論文として取りまとめ国際学術雑誌へ投稿する段階にある。
輸出構造に着目した国際的な知識ネットワークに関する分析は,論文としてとりまとめ国内雑誌に公刊された。

今後の研究の推進方策

自動車産業の集積における知識ネットワークに関する分析では,GISによる分析を進める。各地域に形成されている自動車産業の集積には地理的に差異があることがわかっている。構築した2期間分の自動車部品サプライヤの工場情報が整備されたデータベースを用いて,時系列で自動車産業の集積の分布がどのように変化してきたか,産業集積と知識ネットワークにはどのような地域的な特徴があるかを明らかにすることを目的とした研究へと発展させる。
国際会議で発表した自動車部品の国内調達物流に関する研究成果は,改訂を加えたうえで国際学術誌へ公刊することを計画している。現在の分析では,地域間の分析に限られるため,地域内の分析を含めることを計画している。分析に用いるデータはすでに入手しているため,詳細な分析に対応するデータセットを整備する時間を優先的に充てる。
輸出構造に着目した国際的な知識ネットワークに関する分析では,輸出財に関するデータを利用した。これまでに用いたデータの分類よりも詳細な分類によるデータを利用することにより,実際の輸出構造を反映させた国際的な知識ネットワークを解明することが可能であると考える。分析に用いるデータは入手予定であり,用いる輸出財の分類などについてすでに検討を始めている。

次年度使用額が生じた理由

新型コロナウイルス感染症の影響に伴い当初予定していた調査研究旅行が減少したため。
オンライン環境は整備されてきたが,新しい研究に着手する時の議論は対面での打ち合わせの方が相互に理解度が高くなるため,海外の共同研究者を訪問し,現地で打ち合わせすることを計画している。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2023 2022

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (1件) (うち国際学会 1件)

  • [雑誌論文] 輸出構造からみる国際間の知識類似性に関する基礎的研究2023

    • 著者名/発表者名
      山田恵里・河上哲
    • 雑誌名

      経済科学

      巻: 70 ページ: 143-154

    • DOI

      10.18999/ecos.70.4.143

  • [雑誌論文] Structural change in interregional freight flows: the case of automotive parts logistics in Japan2022

    • 著者名/発表者名
      Eri Yamada, Daisuke Watanabe and Tetsu Kawakami
    • 雑誌名

      Proceedings of 9th International Conference on Transportation and Logistics

      ページ: 1-13

    • 査読あり
  • [学会発表] Structural change in interregional freight flows: the case of automotive parts logistics in Japan2022

    • 著者名/発表者名
      Eri Yamada, Daisuke Watanabe and Tetsu Kawakami
    • 学会等名
      9th International Conferences on Transport and Logistics
    • 国際学会

URL: 

公開日: 2023-12-25  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi