研究課題
若手研究
本研究は法人減税や政府支出拡大政策といった財政政策が企業の過剰債務問題に対して有効かを分析した。政策介入無しでも債務問題が自然と解消するような状況のもとでは、法人減税が企業の税負担軽減を通じて債務問題解消を早める効果を持つことが分かった。一方、債務水準が大き過ぎて永続的に債務が高止まりしている状況では支出拡大政策が債務返済を支援する効果を持つことが分かった。財政政策は、企業の資金調達や最適な負債水準に影響を及ぼすため、債務問題に応じて適切な政策ツールを選ぶ必要がある。
マクロ経済学
財政政策の効果は、状況やその他の政策の影響を受けて変化することが知られており、本研究は企業債務と財政政策の関係を明示的に考察した初めての研究である。分析の結果、企業債務の水準が大きくなるほど、法人減税の効果が大きくなることが分かった。一方、債務水準が高過ぎて永続的に高留まりしている状況では、永続的に支出を拡大する政策が債務問題解消に効果を持つことが分かった。債務問題の深刻度に応じて財政政策を使い分ける必要があることが明らかになった。